「名物刀剣-宝物の日本刀」佐野美術館/徳川黎明会徳川美術館/富山県水墨美術館/根津美術館

この本(目録のようなものかな?)の中でそもそも否定されているのですが、日本刀における「名物」というのはざっくり『享保名物帳』に載っている刀がまず代表的なもので、それ以外の独自基準で、ぽち、ぽちぽち。
ここで名物帳以外で載っていたのは名家の秘蔵扱いだった辺りですね。
あんまりいい刀持ってるのがバレると取り上げられたりするから隠すらしいんだよね、そういう意味で名物相当だよね、という刀があるらしいです。
それとそもそも、名物帳に相当する刀の格付け本もその後大幅加増が行われたらしく、贈答品として名前が知られてるものが必要だからという理由のようなんですが、折紙とか金象嵌とか、銘が消えてるとかいろいろな苦労と努力と変遷の痕跡が。
あとそもそも、享保名物帳というのもあくまで通称であり、名物帳とされている一群の本のことを指すらしく、それも二つに大きく別けられていたりとややこしい。
ただ、大雑把にこの辺の骨格のような部分は本阿弥光徳(信長とか秀吉とか)と本阿弥光悦(家康)の時代に作られてたって見ていいのかな。
享保ってのはそもそも元号なんですが、めっちゃ大雑把に江戸初期から一世代くらいの間に明暦の大火がありまして、そっからさらに一世代くらいが経ったくらいの時代です、大雑把すぎてよくわかんなくなってるけど、初中期って感じの時期。

どっちかというとよく名前が挙げられてる刀はなかったりしたんですが、よく考えたら展示図録なんで当然か、まあ、刀がどのような扱いを受けていたとか、贈答用にするためのルール整備とか、本阿弥家内部での意見の違いとか。
もうちょっと室町時代の資料がまとめられてると助かるんですが、難しい。