「荘園絵図が語る古代・中世」日本史リブレット076、藤田裕嗣

荘園絵図が語る古代・中世 (日本史リブレット)

荘園絵図が語る古代・中世 (日本史リブレット)

 

 

個人的には荘園の形成とその影響のようなものを知りたかったのですが、これはこう、「荘園絵図」(この使い方は歴史研究のものらしいです)の本だったというのが正直なところかなぁ。
大雑把に言うと荘園絵図そのものを分析して、どのように情報を取ればいいのかの前段階で終わってしまっていたので、さすがにリブレットとしては珍しいかも。
ただ、研究途上で資料整理で終わってしまう本そのものはたまにあるよね。
そもそもここで研究解析されていたのが西大寺(奈良)だったので、本の中でも触れられてたけども興福寺の支配下にあったはずなので、うーん、あくまでも偶然残ったと認識するのがいいんだろうか。
あと、絵図って呼ばれてますが、実際には当時の「地図」というとこういう視覚認識したものしか存在しないだろうし、まあ地図って呼ばれてたんじゃないかしら。
現代からするとかなり正確性に劣るので、絵図って呼んでおくねって措置自体はもちろんわかりますけどねー。

 

ここで主に扱われていたのが西大寺の荘園の絵図で、田んぼ部分に関してはだいたい正確な測量をしていたり、同じ広さごとで地図が1枚ずつ使われていたところを見ると確か名言はしていなかったものの租税徴収の目的じゃないかと思うんですけどね。
あと、地図を献上することによって従属の意思を示すなんてのも聞いたことがありますし、その時に使われていたのもこんな形式じゃないのかなぁ、やっぱり。
ただ、この絵図を通して古代中世が語られていたかというとちょっと微妙w
もうちょっと絶対量があってこその分析だろうしなぁ。