「鍛冶道具考-実験考古学ノート」神奈川大学日本常民文化叢書、吉川金次

様々な鍛冶関係の資料の中からその道具を再現し、実際のところはどのような形状だったのかそれが理に適っているのか、というところを検証した本で、神奈川大学が関わってはいるものの書いておられるのも検証しているのも技術屋の方という内容。
で、すごくざっくり言うと、これはこれ自体で価値があるのだと思うのですが、素人が読むとどの資料が正しくてどの資料はいまいちで、多分この記述とこの記述はあまり信頼性が高くない、ということの裏付けになってはいたものの、そこまでで終わってしまっていて、正直なところこの検証作業を含めて「一次資料の一種なのではないか」というのが主な印象かなぁ。
要するに資料が信用が出来るのかそれとも後世あやふやな状態で書いたのかってのもどう考えても研究に役に立つだろうし、技術の変遷そのものの中にその検証を組み合わせると面白い結果にもなりうるだろうし、ということを考えはしたんですが。
なにぶんにもそこまでの興味はないんですよね、著者さん。
ただ、これが大学の研究室を経て出たという時点で、文章になったものに対してのアプローチでもいいし、なんだったら検証作業の間に相談などという形で関わっててもいいような気がするんだよなぁ。
まあただ、よく考えたら文献研究者はそういう実践的な活動って苦手かな…。

 

で、今となってもこれ自体をなんらかの資料分析にぶつけるべきじゃないかなー、ということを考えるくらいですかね…。
まあ、ふいごやら槌やらの話は具体的だったかな、信頼のおける文献や絵図と信頼出来ないものとの違いって結局なんだろうね。わざわざあとから描いた意味も知りたいなぁ。