「NHK さかのぼり日本史(2」昭和 とめられなかった戦争、加藤陽子

正直なところ読んでいる時に若干の違和感があったんですが、ひょっとしてなんですが、ここのテーマはぶっちゃけると「普通の戦争行為は別にいいんじゃないかな?」みたいな部分なんじゃないのかなぁ、だいぶ独特。
あれなんですよね、戦争そのものが悪かったのよ、日本は全て許されざる侵略行為をしていたのです、という論説があって、そこが多分『自虐史観』と言われてると思うんですよね、で、『反自虐史観』はそもそも侵略ということそのものが全く存在せず、正義の行為だったのです! みたいなハイパーナチュラルな薬決めてんのかよ…みたいな内容になってしまうんですが、ただ、自虐史観そのものの問題は実際にあると思うんだよね。
そもそもそうでなくてそのカウンターがそこまで歪まないよねっていう、若干の後付け理論になってしまっているんですが。
で、この本は普通の戦争行為や中国での進軍に関しては「ごく普通の戦争行為」として特に責めてないというのが新味だったんじゃないかと思うんですよね。
例えば関東軍石原莞爾がまず出てくるのが日中戦争の普通の本なんですが、彼がばっさり欠けてる、そしてよくよく考えてみると彼は中国と至極まともに戦争しようとしていただけなんだよね、この本のテーマであるような妙な思い込みはなかった。
あれだ、そもそも他国の土地を切り取ろうとする行為そのものは当時他の国だってやっていたわけだし、そこから責めると妙な言説になっちゃうのも仕方ないと思うんだよね。
 
要するになにが悪かったのかというと、どう考えても勝てない相手に戦争しようとするのだけは止めようよ現実見ようよ!! みたいな。
実に等身大で人間的でいいんじゃないでしょうか、なんで勘違いしたのか史観だこれ。