「図説 明治の企業家」宮本又郎

正直申し上げて知名度が微妙な感じの財閥のことを調べたい、という最終目標があって(大袈裟だけどもう少し到達するのに時間掛かるかな、とはマジで)、まず初歩的なところから頭に入れるか、ということで手に取ったのがこの「図説」なんですが、こういうのは知識量4割くらいを超えた辺りで、でもそれぞれのつながりが具体的にわかんないんだよねー、という段階で読むにはいいと思いますうんわからん、しかし入門書系が他に少ないんだよ…もうちょっとなんとかならないかな、しくしく。

まあそんな感じの本です、有名財閥系(4大とか6大コンツェルンとか)とか渋沢栄一とかを冒頭で数ページごとで語り、3分の2くらいが延々と聞いたことのある企業の概略2ページ単位、みたいなそんな内容。

面白かったのが江戸/明治/大正/昭和に起業された有力企業数と、その残存率。どの時代に創業された企業が有力であったのかみたいな説明ですね。本のタイトルとはいささかズレてしまうんですが、そのまま細かく各時代の分析とかされてても面白かったと思うんですよねw

で、正直2ページ単位の人物概略記を延々と読んでる時点では、面白いとか面白くないとかそれ以前に短くて感情移入がしようがないというか、企業名はほぼ知ってるところばかりなものの、その人物の出生や家柄、初期の苦労が中心なんでやっぱりもうちょっと長くないと、というのが正直なとこだったんですが。

 

読み終わってみるとよく考えると出身階級もばらばらだし、起業のきっかけや失敗談みたいなもの見てても統一性とか傾向とかほとんどないんですよね、下手すると善人だから企業消滅しちゃった、みたいな話すら。個人的にはこの本はひょっとして、明治期の混沌の状況をおぼろげながら掴むための本なのかなぁと、参考になるかは怪しいけど。