2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「アメリカは何を考えているか-オイルとマネー」赤木昭夫

タイトルからしてなんだか挑発的だし、中身を開くとびっくり断言の連続でちょっと手に取るのを早まったかなぁ、と思いながらもいやいや岩波書店だし、そこまで極端なこともないだろうと読み進めてみると意外と一個ずつは納得出来るというか。 もう少し責任感…

「イタリア人の働き方−国民全員が社長の国」内田洋子/シルヴィオ・ピエールサンティ

まあものすごくはっきり言ってしまうとさすがに人口の3分の1強の法人数というのは「多すぎ」としか表現が出来ないというか、さすがになんか別の事情があるんじゃ、とか、その法人数が普通に機能してたら特に若い人を中心にした失業問題が取り沙汰されると…

「新版 荒れ野の40年」ヴァイツゼッカー大統領ドイツ終戦40周年記念演説

大雑把に一言で言ってしまうと“40年ずーっと加害者”という状況が継続すればさすがにまあ、いくらそれがナチス・ドイツだからと言って終戦の頃に子どもだった世代に子が生まれて親になって、孫が出来てさらに次の世代に以降、というほどの時間が経ってしま…

「アルフレッド王の戦い」C・ウォルター・ホッジズ

アルフレッド王というのはそもそも彼のお父さんの代に(末っ子だったっけ? ともかく直接王位を継いだのではなくて、お兄さんたちが順に戦死していったような時代でした)イングランドの七王国の統一を始め、当時はまだ首都ではなかったロンドンを含む南部イ…

「国境なき医師が行く」久留宮隆

“国境なき医師団”というのはいつだっけ? わりと近年有名になったNPOの一種で本部がフランスに、という程度の知識しかないのだけれども、まあ、日本人にありがちなことに私もまあまあ美化して考えていて、実際にそれに飛び込んだ人に言わせると「なにもか…

「ユネスコ・アフリカの歴史」第1巻、上(後半)

前半で西洋的歴史認識が“どんなだったか”ということをさんざん聞きましてね、後半では「白アフリカ説」(アフリカの先史の歴史を肌の白い人種が作ったという説)(ドイツ...orz)とアフリカの歴史観を支配している「ハム・セム説」なども知ることは出来たん…

「ビルマ軍事政権とアウンサンスーチー」田辺寿夫・根元敬

共著で概ね同じスタンスの方らではないかと思うんですが、どうも片割れの方の文章が読みづらい。個人的に前半と後半を入れ替えてくれてたらもうちょっとマシだったのではないかと思うんですが、正直、初っ端からは共感しずらかったです...orz ちゅーか、アウ…

「インカ帝国−太陽と黄金の民族」カルメン・ベルナン

先に同レーベルの本で「マヤ文明」を読み、これが済んだところで「アステカ王国」を読もう、ということを目論んでいるのですが。 まずマヤ文明は一旦発見されていたものの忘れ去られていたもので再発見という過程と、その後の素人同然のアマチュア発掘者が好…

「福祉国家の闘い−スウェーデンからの教訓」武田龍夫

正直、悪い本ではないとは思うんですが後味が良くないっつーか。 “スウェーデンを極端に美化する傾向”からすると純粋にショッキングな本ではないかと思うのですが、そっからちょっとでも離れてるとこの本自体が鼻に付く。なによりも、スウェーデンを題材に「…

「ヘンリー四世 第一部」シェイクスピア全集15、シェイクスピア

一つ前に読んだ(というより、時代が直接つながっているということなので順番に読んだのですが)「リチャード二世」の時代にクーデターによって王位を握ったヘンリー4世と、その息子である王子ハル、さらにその放蕩仲間であるフォールスタッフ。 そのリチャ…

「非ユダヤ的ユダヤ人」I・ドイッチャー

とりあえずなにがショックだったかというと、マルク・シャガールとフロイトがユダヤ人だったということを知らなかった部分でしょうか。あと、トロツキーそうだったのか?! というのはどっちかというと平静に受け止められました、そっかー。 ちなみにフロイ…

「“ニッポン社会”入門−英国人記者の抱腹レポート」コリン・ジョイス

とりあえず、日本人の謙虚さに感動までしてくれてるのは、今まで見た中だとほぼイギリス人だけです、どこがどうしてそうなるのかはわかんないけど、大抵の欧米人種は辟易っていうか「わかんないでもないけど」が一番マシっていうか。 しかし、日本人化した、…

「ユネスコ・アフリカの歴史」第1巻、上(前半)

えーと、600ページくらいのA5の本で全7巻が上下組(14冊ですね)。 先は長いですがとにかく厚い本ですので一冊を前半・後半に別けてのレビューを書いていくつもりです、とりあえず言っちゃあ悪いですがかなり純粋に難しい、いや、この本が、ではなく…

「ロシア異界幻想」栗原成郎

この本の中に出てきた“ドモヴォイ”というのは、なんていうんだろう、日本で言ういわゆる祖霊に近いのかそれとも精霊に近いのか、日本に限ってしまえば“座敷わらし”によく似た話もあるのだけれども(家憑き妖精なんてのも似てるような)、自分と同じ姿で現れ…

『ロード・オブ・ウォー−史上最強の武器商人と呼ばれた男』(アメリカ映画)

正直私、海外の名前はよくわからないんですが、シメオン・ワイズはユダヤ人なのかなー、というようなことは思いました。最初の取り引きにされるのもイスラエル製の銃。 そもそも主人公が最初に遭遇した、銃撃を受けた瞬間にテーブルを立て掛けてマシンガン乱…

『ATARU』mission 4

「飛行機事故or自殺」というような内容の回だったのですが、正直あとから判明した状況(いやこれは犯人が自供したんですが)からすると、うへー、ここまでやっててもわからないものなのか、というのが正直なところですね。 もともとの前提として前日の飛行…

『都市と防災’08』#15 これからの都市防災

基本的にこの講義では自然災害についてのみ取扱うものだと思い込んでいて、まあ実際14回(全15回ですね)までそれ以外のことが全然出てこなかったので、なんだよ、大規模な感染病なんかも一応範囲に入ってたのか?! と正直驚くしかなかったですね…。 S…

「コンゴ紀行(正」アンドレ・ジイド

さて一体、この非人道的な“支配”がまかり通っていたのがいつ頃のことなのか、という細かい年代をうんぬんしてもあまりピンとは来ないような気もしますが、1951年に82歳の生涯(念のため、第二次世界大戦終結が1945年)を閉じた方ともなると現代で…

『ATARU』mission 3

どっちかというとこの事件については「なんで捨て山とされたか」という状況のほうが重要だという気もしますが、被害者自身に釣りの趣味があって、現場がいかにも転落しても不自然ではない場所だったから、ということになるのかな。 これもあれですね、まず動…

『都市と防災’08』#14 情報とコミュニケーション

正直この講義では初回の頃から普段から災害のことを考えることがどんなに大事なのか、ということを講師の人が延々と語り続けていたんですが、なんていうのかな、こんな講義をわざわざ選んで、14回まで進んだ時点である程度「選ばれた人間」の側に近いとい…

「フランスの中世社会−王と貴族たちの軌跡」歴史文化ライブラリー216、渡辺節夫

当面とりあえず「封建社会下においてレーン制は成り立つのか」というのがどうしても頭から離れてくれないんですが、要するに“レーン制”というのは自分で主君を選ぶことで(唯一の相手と行う臣従の例であるオマージュと対比されてましたが、レーンってのは実…

『都市と防災’08』#13 都市の復旧と復興

この回にゲストとして来ていたのは1999年9月の台湾集集(チイチイ)地震や、2004年のスマトラ沖の津波の被災地などに行っているという方だったんですが。 都市環境がむしろ災害のあとで拡大するよっていう実例がぽちぽち。 古くは1666年ロンド…

「ジェヴォーダンの獣」ピエール・ペロー

“ジェヴォーダンの獣”というのはこれ自体が一つの結構有名な過去の逸話で、要するに女と子どもしか狙わない、という獣が何年もの間、フランス南部のラングドック地方で何百人単位で殺し続け、フランス王宮の命令で一旦“獣”の剥製が提出されたものの。 その後…

「マグレブ紀行」川田順造

“マグレブ”というのはどうもまあ、もともと大雑把な括りであるようなんですが、サハラ以北のアフリカの地の(ここまでは確定)、東にあるエジプトとその影響圏を除いた部分かなぁ、と考えてるんですが、そんな見当違いでもないですかね? (北西アフリカ、と…

『ATARU』mission 2

正直、というか気になっていたんですが、この人、別になんもしてないよね? 「謹慎中謹慎中」とか他の刑事仲間に言われてたんですが、あくまで辞めるのを引き止めるために有給の消化をしてただけだよね? 嫌味だったんだろうとトータルで考えるとなんとなく…

「パナマ運河史」河合恒生

この本で扱われていたのは「もう1冊」のパナマ運河の本とはジャンル違いの(同年出版ですが、とても相互補完的でよろしいと思います、こちらが後発で、ぶっちゃけて結構手直ししたよね)、アメリカの南北大陸における文脈の中のパナマ運河というか。 レセッ…

「物語 古代ギリシア人の歴史」周藤芳幸

大雑把に言うと「物語」よりも解説部分のほうが面白かった、ということでほとんど全てではないかと思うんですが。うんまあ、誠実なお人柄だとは思うんですが、せっかくフィクションと銘打ったならもう少し冒険して欲しかったな、というのが本音というか、歴…

『探検バクモン』50年に1度のチャンス!〜姫路城を攻略せよ(後編)

50年に1度、6年を掛けて改築する(考えてみたら改築期間は比重として短くないね?)姫路城の回の後半。現在瓦を剥がされて木組みが丸裸になっている本丸が登場。 全部で8万枚あって、今の時点で焼き直ししてるのは3千枚くらいですかね、ということだと…

「フランス革命−歴史における劇薬」遅塚忠躬

まあ正直、フランス革命(日本だと市民革命って呼ばれてることが多いような気がします)の細かい事跡を追うような本ではないですし、だったらその時代的評価を取り扱った本なのか、というとそれもちょっと違って、うーん、なんていうのかなぁ。 この“革命”が…

「中世ヨーロッパの歴史」堀越孝一

“イギリス”というのはそもそもイングランドからの転用なので(最初に日本人と接触したポルトガル人がイングレスと呼んでいたのだとか)、まあ、どちらを使っても間違いではないと思うのですが、さすがに交互に出てくるってのはないだろうとか。 神聖ローマ皇…