「パナマ運河史」河合恒生

この本で扱われていたのは「もう1冊」のパナマ運河の本とはジャンル違いの(同年出版ですが、とても相互補完的でよろしいと思います、こちらが後発で、ぶっちゃけて結構手直ししたよね)、アメリカの南北大陸における文脈の中のパナマ運河というか。
レセップス(フランス人)の頓挫した計画もとりあえずすっ飛ばして。
なぜアメリカ合衆国が、どのような世界情勢と自身の指針の中でパナマ運河を必要としたのか、ということが主に扱われていたのではないかと思うんですが。
地理的にはそうですね、南北アメリカ大陸には切れ目が存在せず(細いんですけどねぇ、くびれてるっていうか)、なにごとか起こった時点で地球を半周させられる、という状況である程度覇権を伸ばしてきた時点で必須としか言い様がなかったかなぁ、という気がしないでもなく。
パナマ以外にも幾つか計画案はあったんですが、諸々の地理的条件や、もう少し望みがありそうだった計画案にイギリスが介入(客観的に見ると言いがかりだと思います)したりで話がパナマに絞られていき。


そんな中、パナマがコロンビアからの独立を申し出(どうも陸の孤島状態だったみたいですね)、そのどさくさに紛れ、得体の知れないフランス人がアメリカ議会にやたらと有利な案を持ってきてくれた、というのがなんの憶測も含まれない事実で。
出版当時、パナマの国土に土地を真っ二つに分断する“アメリカ領パナマ運河”が存在。
その条件がその後、多少は緩和されたものの、様々な世界情勢の変化の中からアメリカ側への返還を求めるか否か、という投票に年にこの本は出版されたのですが。
その後1999年に完全返還、2007年に拡張工事、と順調なようでなによりw