「明治の巨人-岩崎弥太郎」砂川幸雄

うーん、まあなんというか、もともと三菱関係の本を読んでいると他の系統の本よりも思い込みのような部分が多く(私が現在認識の底本にしてるのは『三菱銀行史』なので、さすがにこれに年代の間違いはそうはないかなとw)、暴走気味なのも慣れてはいたんですが、大河批判を真っ先に持ってきている本だとさすがになんだかなぁ。
そもそも大河を鵜呑みにしてる伝記本って今の時点で見たことないし。
どっちかというと大河をきっかけにこの人に注目が集まって、そっから皆で少しずつ資料を分析していった、みたいな感じに伝記群を捉えていたので、土佐藩の内情などに対してもほとんど通俗的な内容しかないこの本のほうがよっぽどがっくりした感じ。
(ただ大河批判に関しての部分で間違っていたとは全く思ってないです、でもその辺の描写との食い違いも諸共に非難されてた他の伝記本で読んじゃってるんだよな。)

ただもともと明治の財界人を複数取り扱ってる人だけあって、庭石集めの趣味が当時ちょっと変わっていたんだよね、などの冒頭の話や、三菱寄りになっている他の本ではあまり聞けない三菱バッシング関係、三菱銀行の前身とされている三菱為替の話などが聞けたのは悪くはなかったかな? そもそも全部で30分くらいで読めたから、まあ損したというほどのことではないとも思うんですけどね。
水道、というか上水への関与などの話は、さすがに「正史」である岩崎家や三菱資料館編集の人物史ならではって気もするなぁ。ただ、多分勘違いだけでもないと思うんですけど、なんかこう、明治の他の資料と合わない部分が、ぽちぽち。
著者さんが他で聞いてる知識で書き直してるのかなんとなく文章の前後で内容が違ってたりするんですよね…。どうやって作ったんだろ「正史」、なんか気になってきたよ…。