「女性天皇」滝浪貞子

基本的には女性天皇というのは「つなぎ」の存在であり(通常の天皇と全くの同格だった、という意見には反対の著者さん、ただし、権威や権力そのものがなかったはずだ、という論説にも反対)、要するにその本命となる対のような存在がいるのだ、ということをわりと論理的に語っていた本だと思うのですが。
すごく残念ながら女性天皇自身が次から次へと前例を崩していく体裁なのでそこまでわかりやすかったかというとそうでもないし。
そもそも男性の天皇候補がいないってことは全くないんですよね。
というより、その直前の天皇の同母の兄弟が残っている場合、直系で三十歳以上の男子がいる場合には全くこの介入が起こらないという一定のルールはあったようです。
地味にあれだよな、三十歳以上の正妻の息子を残して死ぬってのが(譲位はこの本の時代に徐々に確立)、かなり難しい条件付けだったってことかなぁ。

そもそもの初めが推古天皇なのですが、これがあれか、俗に言う聖徳太子が「蘇我氏系」だったため、この王子を天皇にすることを目的とした女帝だったようです。
が、この時点で譲位の概念がなく、彼女がやたらと長生きだったためにいろんな目論見が崩れてしまったと、ううん、誰が悪いわけでもないと思うんですが。
男性のつなぎの天皇を一時的に立てようとしたこともあったものの、これも上手く行かず、そもそも女帝の息子を次の天皇にする、という目的でもなく、あくまでつなぎとしての存在だったために、のちの天智天皇中大兄皇子)の段階では苦労をしたと。
そしてこの時点で今度は蘇我氏が討ち取られ、そのまま藤原氏の血統を天皇に付けようという画策が今度は始まったと、なんかややこしいな!!