「江戸の養生所」安藤優一郎

このタイトルになっているのが小石川養生所で、触れた時点で「暴れん坊将軍大岡越前の時代の貧民救済のための無料診療所?」ということを友人に言われたのですが、正直これにもドラマが存在したなぁ、という程度の記憶しかなく、だいぶ酷いことになっていたと言われると正直なところ生きながら病人が腐っていくという程度の予想をしていたのですが別にそんなこともありませんでした。
ただ、無料診察所の病人たちへの手当てからいかにして搾り取るのか、ということに長けた世話人たちが存在し、あまりの酷さにそこに来る人間がいなくなった、という顛末は確かに酷かったような気もします。
いやあの、貧民救済の別組織なんかも出来てたし、初期は曲がりなりにも回っていたみたいだし、途中で医師のやる気がなくなっていたとかそのくらいならなぁ、とはちょっと思っちゃっていたよね…。

 

この本そのものはわりと江戸の医療全般の中においての小石川養生所の地位というか立ち位置のようなところに触れている形で、歴史って意味でも江戸の庶民生活って意味でもだいぶ面白かったんじゃないのかなぁ、と思うんですけどね。
というか他の本のタイトルを眺めていても結構視点が庶民寄りで面白い方だと思うんだけども、どうも出版社さんに恵まれていないのか変なタイトルもぽちぽち…内容は普通のものっぽいので、ううん、販促になる範囲、というかせめてセンスのあるタイトルか、他に本が異様にたくさんあるところで勝負するの止めてあげたほうが。
この施設そのものはある意味で役目果たしたって言えるんじゃないかな、と著者さんの意図に反して感じられた点で、誠意ある伝え方してらしたと思うんだよね。