「桓武天皇-造都と征夷を宿命づけられた帝王」日本史リブレット人011、西本昌弘

 

そもそもこの本をなんで読んだのかというと、平安京の作られた時代に最澄空海が世に現れ(最近その二人の天台宗真言宗が「平安新仏教」という呼び方されてるのを見ますが、すごくわかりやすくていいと思う)、どういうわけか修験道役小角もその同時代だと聞いたため、なにか時代そのものに原因があるのでは? という興味が湧いたせいだったんですが、なんのことはない、そもそも桓武天皇の生母の地位が低く。
周囲よりも立場が低いところから帝位に付くにも、その当人の子孫(当時は兄弟間の譲位が普通)に継いでいくのにも政争が避けられず。
その政争の敗者が祟りとなって世に跋扈することになり。
で、その慰撫のために新しい形の宗教が必要とされた、という順序のようです。
わりと順番に説明されるとわかるような気はするものの、不思議なもんだなぁw
 
正直なところあくまで古代の話なので祟りだ御霊だというのを信じてしまうのも無理はない、というのがあまり詳しくない時点での気持ちだったんですが。
あれですね、夏になるのに雨が一滴も降らない、その対策を話し合うための政府高官の話し合いの最中に御所に雷が置いて大臣が死んだ、となるとなぁ…そんな話がごろごろと。
さすがにリアリストの現代人でもそこまで行くと信じても仕方ないよ。
というか、この騒動があったあとで政変の相手を殺さないようになった、というのはわからないでもないですね…(武士政権の台頭の辺りで、長いこと公卿が処刑されることはなかった、というのって、要するにこの時代につながっていたのかもしれないなぁ)。
平安京は苦しい台所事情においても、のちの発展を見越しての作りになっていたのだ、という辺りはもう別にいいんじゃないのかなあ、しかし不思議な時代だこれ。