「戦場でメシを食う」佐藤和孝

なんでもまあ、カメラ機材を取材地の真っ只中で取られてしまったことが「書く」きっかけだったということなので、そのせいなのか最初のほうは若干読みにくいんですが(そのまま書き出しているようなんですが、やっぱり見当が付かないんですよ、状況が)(そして戦場が見当付かないのは私に限らないかなと)、しばらく進んで行くとそんなこともなく。
若干平和が戻っているサラエボなんかが印象が深かったかなぁ。
今の情勢だとこっちの部屋なら大丈夫、と通された部屋には情勢の変わる前の割れたガラスに銃弾のあとが、銃は届きません、じゃなくて風吹き込んで来るのではw
イラクの本はかなり何冊も読んでいるんですが、同系統のところが出していない限り全部書かれていることが違う、ということに尽きます。状況がそうなのですかもね。


他にアフガニスタン、アルバニア、チェチェン、アチェ(インドネシアの独立運動の地域)。んー、アルバニアは独裁者がおりまして、アフガンは対ソ連の最前線だった時代(本の中でかなり時期が違ってます、あくまで著者さんの経験談)、チェチェンはロシアから攻撃されたものの当人たちですら理由を知らず。
それぞれの土地でわりと正直しょーもないことに拘っておられるのが作者さん、とはいえ、なにを話していても紛争の痕跡は必ずどこにでもあり、キャビアのないはずの土地にキャビアがあれば多分ロシア軍の横流しだろう、といった具合に。
アフガンでは対ソ連だけど、インドネシアのスハルト政権を擁護していたのはアメリカ政府だし、イラクでは終始徹底して悪役(軍が評判悪くてねぇ)、ノンポリというか、どっかに属していたらこんな仕事、戦場カメラマンなんて出来ない気もするし。
むしろ、ご飯のことを一番に覚えているような“強さ”が必要なのかなぁ。