「昭和の路面電車−関東・甲信越編」生方良雄

昭和の路面電車 関東・甲信越編 (ヴィジュアルガイド)

昭和の路面電車 関東・甲信越編 (ヴィジュアルガイド)

とりあえずこの本を読んでよくわかったのは、路面電車がバスと電車の中間的存在であるということと(バス路線との競合に敗れて廃線になることもあれば、電車へと置き換えが行われることもあるしで)(しかしここの表現に迷う、鉄道? 電車?)、ノスタルジーそれ自体は置いておいて、人の生活に密着している存在なもので、ちょっとした時代の変化にも非常に敏感に影響を受けるんだなぁ、ということと。
京王軌道だけなんか妙に生温い経歴じゃないか、、、? ということでしょうか。
玉電→東急世田谷線の買収話から始まって、江ノ電は小田急傘下で生き残ってはいるものの昔から改良を余儀なくされ、他の大手私鉄系も併走区間(自動車道の脇に路線があることと、専用軌道が用意されることがあったようです)を減らし、車両を改良し、スピードアップを行って競合に耐え抜き。
東京市電はその前身の私鉄の発足時点から争いが絶えず、統合と買収が繰り返され。


特に玉電は京王軌道とわりと仲良く東京近圏郊外型の路面電車として愛されていたというのに東急の拡張により飲み込まれてしまったとか、まあ、全体的にそんな本です。
さらに続いて市電としてもぎりぎりの状態を続けて廃止となった川崎市電や、妙に災難の多い横浜市電、地元に睨まれて何度も廃止させられそうになった観光地の路面電車や(国の命令により廃止)、工業地の発展と共に生まれて時代の流れと共に消えた路線。
地元の要求によって生まれたものの、各事業者に毟られるだけ毟られていた路線。
路面電車が主なのでちょっと事情がわからない部分もあるのですが、経営の微妙さはよく伝わってきましたとも、中には廃線後、バスでは輸送量が追いつかなくなった地域もあったようで、なんだか切なかったなぁ(生き残り路線少ない...orz)。