『美の巨人たち』ムリーリョ「蚤をとる少年」(スペイン)

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ−Wikipedia
(1617.12/31−1682.04/03)


まあありていに言えば「食事時に見るもんじゃねぇなぁ」というのが本音ですが。
説明されなくても当人の、少なくとも人事ではないシンパシーをその絵に感じるのは多分、多少は同質の経験をしたことがあるからでしょうか。食事の食べ残しも、肌の落とされない汚れも、周囲の薄汚れたゴミもリアリティがありすぎる。
んで、それがこの国、スペインで受け入れられず(かな?)、彼の宗教画と違って全て海外に流失してしまったというのならばひょっとして、スペインではしばらく「そんな」光景は遠いものではなかったということでしょうかね。
しかしとはいえ、もったいないことをしたような気もします。
この番組で指摘されなければ気が付くことはなかったでしょうが、鬼気迫るものすらあった初期の頃の孤児と比べ、後年のものは薄っすらとフィルタが掛かったように明るくなり、確かに確かに同じような似た題材を扱っているのに受ける印象がまるで違う。


絵を描くことでなにかが画家から抜け落ちたのか。
それとも、年を取って丸くなったのか、案外記憶が美化されちゃったのか(をぃ)。
それか逆に、宗教画受けてんだから鬼気迫る頃の作品は仕方ないとして(あれが描きたかったのは聞かなくてもわかるわい)、後年の作品はなにも描かなくても良かったんじゃないかと思えないでもないんですが。作品の子どもたちを幸せにしたくなったのか。
スペイン絵画の黄金期の、まあ、ひょっとしたらラストの辺りの画家なのかな。