「明治政府と英国東洋銀行(オリエンタル・バンク)」立脇和夫

もともと鉄道初期の話だと妙にレイ借款が有名なんですが(技術者のモレルさんが一番、でネルソン・レイ、オリエンタル銀行はその次くらいかな? 英国公使のパークス氏も重要人物だよね)(アメリカは旧幕府側の立場を守っていたそうですよ)、この時点で同国人に味方せずに日本側の立場に立ってくれたオリエンタル銀行は、そもそも日本が最初にした借金、フランスが権利を持っていた横須賀造船所の引き受け資金提供の相手でもあったんですね、とんでもなくお世話になりました…。
(高利だけどそこは問題じゃないんだよ、担保もなかったんだから当然だよね!)
あと鉄道資金と言われるとわかりにくいんですが、鉄道を名目にして少し資金に余裕を持とうとしての借金をしようとしていたらしく、台所事情の苦しさが伺えますね。

 

日本が外国の商店が割り出す小切手と洋銀券の区別が付かず、洋銀券の排除を目論んだ時も各国日本支店が一斉にボイコットする中で一人沈黙を守ってくれ(そもそも洋銀券の発行もしてなかったそうですが、ていうかこれなに?)、影に日向に、と守ってくれたものの、この銀行自体にニュー・オリエンタル・バンクまで合わせても50年ほどの歴史しかない、と聞いて大変に心配してしまったんですが、東南アジアでの拡大傾向がきっかけになっていたんですね、日本のせいじゃなくてまだしも良かった。
というか、なんだかんだとお互いに悪くないパートナーだったのかなぁ、というのは想像でしかないんですが、本当にどうしてこんなに親身になってくれたんだろうね。
倒産する段階でも預金などの引継ぎにほとんど支障がなかったようなので、ある意味で英国の国策的な兼ね合いもあったのか、という気もしないでもないんですが、日本側からの視点だとこの本くらいの内容が限界なのかもなぁ。