「お金から見た幕末維新-財政破綻と円の誕生」渡辺房男

お金から見た幕末維新――財政破綻と円の誕生(祥伝社新書219)

お金から見た幕末維新――財政破綻と円の誕生(祥伝社新書219)

 

 

そういえばこの前に「明治六年政変」を読んでいて円の誕生との時間関係はどうなっていたんだろう、と思ってたんですが、円制度(になると巨大な力を持っていた為替商の活動範囲が極端に狭まる)に発足そのものがだいたい明治4年くらいでいいのかな。
いや、いろんな段階があるので一概には言えないんですが、まあ大丈夫っぽい。
そもそも円と元で悩んでいた、というところからびっくりするんですが、もともと通貨として通用していたものを各国で取り入れるのが望ましかった、と言われると、言われないと知らないことってあるものだなぁ、としみじみと。

江戸の頃はそもそも大阪が銀を中心にし、江戸が金を中心に財政が回っていて、為替商はその交換や日々の両替で大変大きな力を持っていて、というのは知っていたんですが、円の発足そのものがその制度を一般化して為替商に頼らなくて済むようにする、という視点で見たことはなく、この本で初めて気付いたと言ってもいいかも。
いや、今までもそこが必要なくなるという話は聞いていたんですが、為替商が一大勢力であって制度改革に反対した、という出来事があって初めて全体的な流れが把握出来た気もします、小野組の取り潰しってのも三井の画策とか言われてるの見たことありますけど、どう見ても違うよねこれ、三井だけが生き残ったって話だよね(これも三井や財閥の歴史でたまに見てたんですが、三井側から資料見てる人は多分自分たちが事態の黒幕って疑われてるって認識がないんだと思う、そりゃそうだよ)。
藩札や贋金の整理、非常に質の悪い金貨の話もたまに聞いていたんですが、海外への金貨の流失を防ぐための制度って言われるとうーん、その見方に長いこと欠けてたなぁ。ここで紹介されていた「円の誕生」も読んでみようかな。わかるようになると面白いね。