「明治前期政治史の研究-明治軍隊の成立と明治国家の完成」梅渓昇

面白かったのが長州にあったという奇兵隊、極端に防衛線が伸び続ける中で軍事力を増やすために農民の参加を認めたそうなんですが(ただしいい意味でも悪い意味でも士族と同様に処遇したらしいです、農兵だと普通は強制参加だから多少なりと手加減するものなのかもね)、これがきっかけで明治初期の「徴兵令」があったと言われると納得。
正直なところ、どうもこの陸軍の内部事情がわからないんですけども。
薩摩系の人も長州系の人もいるよね…、あと土佐の藩兵も参加してるのか。
初期の頃にフランス式を導入していたのはフランスに階級制度が歴然としてあって、徴兵令にもあちこちに抜け道が用意されていた、というのが日本の身分開放直後の実情にも合ってるんじゃないのか、と認識されていたらしいです。
まあその後、普仏戦争のフランスの敗北によってドイツ式になった、と言われてるんですが、そこまで簡単に挿げ変わったわけでもないってのを証明しようとされていたんだな。今の時点でフランスの影響が過小評価されてるんだよね、というのは納得。
ていうか実際徴兵令までは仏人ジュ・ブスケが関わってるなら確かにそうだよな…。

それと軍人勅諭と教育勅語が語られていたんですが、うーん、軍人勅諭は主に井上毅とあと西周くらい?(この人たちはなんか知ってるんだけどどこでだろ) 教育勅語井上毅が結局直してるのか、これはだいぶいろいろ手が入ったみたいですね。
なんというか、井上毅明治憲法の人なんですが、どっちも比較的普通の役目や心得の部分と天皇絶対の方針の表明みたいな側面があります。明治憲法もなんとなく二面性があるって言われてたけど、そういう分析の話もメインではなく成立までの話が主。
ちょっとややこしかったですが、まあ話題が限定されてるので読めるには読めるかな。