「宮大工千年の「手と技」-語りつぎたい、木を生かす日本人の知恵」松浦昭次
宮大工千年の「手と技」―語りつぎたい、木を生かす日本人の知恵 (祥伝社黄金文庫)
- 作者: 松浦昭次
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2005/01
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
面白かった、というには理屈が全く理解出来なかったんですが「中国から渡ったサシガネの裏書きをしたのは聖徳太子ではないかと言われている」という部分にはちょっとにやり、しかし普通に裏返していくだけで三角関数や円周率の計算の変わりになるってのは、普通に知恵だなぁ、普通に今の電卓よりもずっと便利と言われるだけのことはある。
サシガネってのは曲がった定規なんですが、あれそんなに高機能だったんだね。
で、サシガネの形は中国から、中国から伝わった時点で円周率も利用出来るようになったよん、という解説に若干びっくりしたんですが、もうちょっと評価されてていいww
ただ、そもそも日本の木材建築技術は鎌倉から室町時代に掛けて最高峰、その後少しずつ技術が失われ、神社仏閣の「軒反り」の意味もわからないと言われてしまうとさすがにちょっとなんだかなぁ、丁稚奉公(ただ働き期間があるみたいな感じ)が必要だった、ということを折々に語っているんですが、でもなー、それだと技術が体系的になってない…。
過去の技術の解析を専門の学者に頼ってる状態でそんなことを言ってもなぁ、としか。
今の教育方法が大工にはもっと向いてない、というだけなら賛同するんですけどね。
しかしそれもやっぱり、分析と分類していけばわかりやすくなる気もします。
そうしたら失われるかもしれない「手仕事の良さ」みたいなものは私はあんまり信じてないです。それでもそこから天才は出てくるだろうと思うよ。木材が生き物であって、それぞれが違い、説明が難しいってところもわかるんだけどね。
木材って弱いように思えるけど、同じ重さの鉄よりも強い、そして建築物って軽いほうが有利なんですよね、軽くて強度があるほうがいい、木材には十分に価値がある。でも、解析が難しくても不可能なほどではないんじゃないのかなぁ。