「世界をリードした磁器窯・肥前窯」遺跡を学ぶ005、大橋康二

世界をリードした磁器窯・肥前窯 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)

世界をリードした磁器窯・肥前窯 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)

 

 

この表紙にあるのは肥前窯(ひぜんがま)、と読むのかな。旧国名で今の九州の佐賀県に相当し、17世紀くらいから磁器を盛んに作っていたということでいいのかなぁ、18世紀のものが17世紀ではないかと思われる事態があったとかそういう話はしてたけど…。
そもそも磁器や窯の時代というものがはっきり判明するわけでもないようなので、ちょっとややこしかったんですが、16世紀なんかの年代は出てきてるかな?
んー、どうも全体的に美術品でも完全な日用品でもなく、わりと輸出を意識した品目なんじゃないかと思えるんですが、欧州でもオランダと交易していたような国からはぽちぽちとこの近辺の品目が出てくるらしく、特定の名前がないのかな、と思いながら読んではいたんですが、これ流行に合わせてちまちまと品目変更してたんじゃないのかなぁ。
そうすると朝鮮半島から来たんじゃないかと言われていた目積み(皿を上に重ねてって焼くためにその跡が残る)が残るようになっていたというのも、大量生産のための技術として捉えられていたんじゃないのかなぁ、ということも。

このシリーズはどちらかというと遺跡単位で語られていることが多いと思っていたんですが、陶磁器の発掘ってまず分類して、年号があるような絶対年代がわかるものを中心に、それが本来とは別の時期に作られたことも念頭に置きつつ、偽物(後世の混入はなくても輸出品だとその恐れは確かにあるよねw)なども多少意識しつつ。
割れた陶磁器がまとめてあるような場合は信憑性が高いと見做せる、とか、そもそも結構大量にあるので分類しつつ、それらの情報を整理し、統合し、付き合わせしつつ、とちまちまちまちまと窯や品物や各地に点在している陶磁器とつなぎ合わせているそうです。
これはこれで頭が下がる作業だなぁ…、肥前製ってのがはっきりしてるだけマシか。