「〔江戸-東京〕河岸綺譚」INAX album.16、榧野八束

日本橋の界隈には水路が縦横無尽に通っていて、それこそ升目ごとというような勢いで橋が架かっているような地図を見たことがあったんですが(微妙にどの橋にどこの住人という意識があったらしいみたいな本も読んだことあるなw)、その時代にあったという河岸が中心になっている本ですね。
この水路が明治の頃には都市生活の中で需要が急増していた薪を運ぶための一大拠点となって、鉄道とも結節しての貨物輸送を行っていたものの、東北までの路線が作られてしまうと一気にその需要もなくなって、中央線のほうにあったという飯田橋の辺りの水運との拠点とともに完全に昔の話になってしまったのだとか。
ああでも、あれが外濠とつながっていたので基本的に水路はどこでもつながって一体のものとして認識されていたのかもなぁ。

そもそも私、日本橋界隈の今の地形もそんなにろくに知らないんですが、かつて橋のほうの日本橋の近くに生鮮市場があったのだとか(関東大震災で築地に移転だよね確か)、日本橋川以外にも大量の水路があったのだとかもほとんど知らないんですよね。
そういや他にも少しくらいは水路残っているのかなぁ、本当にわからない。
日本橋川もそれこそ、高速道路の下でなければ埋め立てられていたかもしれないなぁ。
この本の中では測量の光景までが軽く触れられていたんですが、そうするとそろそろ東京オリンピックを意識した時代でしたっけ、水路が埋め立てられていくのも近代化の一貫ですよね。この少し前の時代から川は濁っていたようですが、それでもまだ川に神聖なものを感じることは出来た、ということが語られていたり。
この地に花街があった、てのもかつての水運の担い手の関係かもなぁ。時代の流れだ。