「出雲と大和-古代国家の原像をたずねて」村井康彦

この本を読んでいてびっくりしたのが「興」の字はもともと国府という意味であり、ということと(奈良にある興福寺ってそう受け取っていいのか、時代的に関係ないものもあるとは思うもののその時代が近い)、それとあれですね、古代の吉備が出雲と国境を接していたことでしょうか、知らなかったの?! と友人にも驚かれてしまったんですが吉備が大きすぎて東側の認識が消えていたようです…今更だよな確かに。
で、すごく納得がしたのが邪馬台国と大和政権は別物なのではないのかなー、という話、ああうん、確かにこの順序で語られるとわかるなぁ。日本書記や古事記に全く卑弥呼の記述がないのは、別の系統の存在だから、と言われるとわかる。
ただそれが出雲系かと言われるとどうなんだろう、この論拠だとなんとも。
ありえないかというと、思った以上に水運が発達していたわけだし、三輪山などに関して出雲系って言われるのはわりと筋としてわかるんだよね。
邪馬台国そのものがどこだかわかっていない段階では、仮説留まりかなぁ。
あとこの本の中で邪馬台国候補地として挙げられてるどちらも遺跡のどうだろう、と言われていた分に関しては、戦うことを考えていなかったという記録と符号するってことでいいんじゃないのかなぁ。
邪馬台国が連合体だ、という説に対してちょっとアプローチして欲しい感じ。

大枠とそれと現地でのフィールドワークに関してはだいたい面白く読めたものの、それぞれをつなぐ流れとしてはちょっと物足りないかなぁ、という気持ち。
とはいえ、ここを仮定として叩き台が出来ていくんならいいんじゃないのかな、叩くことも出来ない説だとさすがに進展も遅いしね…。