「白い雌ライオン」クルト・ヴァランダー・シリーズ3、ヘニング・マンケル

正直この本を読んだ時点で「このシリーズ読んできて良かったぁぁぁぁっ!」と心の底から思ったんですが(それ以前は若干、珍しい国だし、というお付き合い的な感性で読んでいたことが否めませんw)、なんでこんなに違って感じられるんだろう、と思って解説を見てみるとどうも長年アフリカにおられた方のようで。
どこを面白く感じるのか、というと私にはちょっと説明しがたい。


ただ、人を殺すために雇われた男を助けようとして刑事生活そのものがぎりぎりのところまで行き着いてしまう主人公も、そのきっかけの中に、今までどうにもならなかった鬱屈のようなものが含まれているとか、そういう諸々が絡まって、けしてこの本だけを読みたかったというわけではないよなぁ、と自己完結。
アフリカ大陸の南アフリカ共和国の、ボーア人(オランダ系)の集団が。
黒人の人種差別撤廃の運動家か、もしくはその彼を庇う白人大統領かのどちらかの命を狙っているのだと徐々に推測されていく状況の中で、なんの関係もないスウェーデンの田舎町の家が爆発し、人が死に、そこに微妙に疑わしさがあるものの痕跡はテロリストを示し。
というそんな話が、けして理路整然ではなく、ぐちゃぐちゃに絡み合って強引なラスト、未来があるのだかないのだかも判然としない結末を迎える話が妙に良かった。多分こう、頭で考えすぎてしまう人は駄目なのかもしれない、とも思えなくもないんですが。
頭で考えてフィクションを受け取ることをなんとなく疑問視してるような向きの方に読んで欲しい気がします、なんで老刑事が、犯罪者に属する側の人間を救いたいと思うのかということは、読んで納得が行くか行かないか、それはわかりませんが。
私はこの話、ものすごく好きです、出会えて本当に良かったなぁ。