「マメな豆の話−世界の豆食文化をたずねて」吉田よし子

そういえば日本でも大豆といえば思い浮かぶのはまず数々の加工食品か枝豆しかないのですが(根拠はないんですが、私の個人的感慨ではないように思えます)。
「そこ」に毒となる成分が含まれていて(豆はほとんどが有毒なのだそうです)、それを食べるための知恵だったんだよ、ということを言われてしまうと、それは知らなかったなぁ、というのが正直なところで。
枝豆、未成熟なままで食べるというのが「贅沢だ」という方たちがなんだかもう別世界(いえ、日本国内の少しだけ古い時代の話だったんですが)、なんでも熟成した場合、その栄養価が数倍にもなるのだというのですが、今度はそれを聞くと、なんで成分調査があるはずもない昔の人がそんなことを知っているんだろう、というのがわからない。
(そもそも毒にしても、毒消しの方法にしてもそうなんですよねぇ。)


豆類は世界でも有数の栄養源で、植えることによって大気中の窒素を地中に取り込み、土壌を豊かにし、比較的厳しい気候条件でも生育するため、副食として人類とともに歩んできたと言ってもいいような食物。
この本では本当に南米のトウモロコシと一緒に植えられている、という豆類から、かつて飢餓を救いながらもその毒性によって多くの後遺症を残した、という話、ヨーロッパのレンズマメにアメリカのピーナッツに付くカビの話。
アジアの各地にある豆腐や味噌の仲間と、ついでに中国の影響圏にあるのではないか、と見られる微妙な言葉の重複など、非常に盛りだくさん。とりあえず臭豆腐は、えーと、豆乳で作るチーズ? と考えてもいいんでしょうか、どのカビが食べれてどのカビが駄目とか、昔の人の技術って本当にすごいよなぁ(後退してないかしら)。