「カラマーゾフの兄弟」下、ドストエフスキー

カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)

カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)

個人的には脇エピソードの中では長男と父親が取り合ってた未亡人が好きなのですが。
というか、彼女が昔の恋人が文を寄越したからってうきうきうきうきしっ放しだったところが好き、そして彼に実際に会って、なにに絶望したって優しく抱き締めて歌ってくれなくなってしまったというところが可愛いと思うんですよ。


でもクールな次男イワンですら、弱い部分なんてのは持っているのですが。
むしろないのは天使で人の良い三男くらいか、次男が裁判の寸前に会ったのだという「悪魔」の描写は一体なんだったのか(なにを作者が意図していたのか)ということが語られることもあるそうなんですが、悪魔。
いるわけねー! と次男がいくら言っても消えてくれないアレ。でも頭堅いっスね。
精神状態が悪いから現れたのか、それともソレが現れたことで精神状態が悪くなったのか。彼はけして父親に直接的に手を掛けてはいないんですが、彼が側にいたら父親が殺されるようなことは起こらず(手強いんですよ、性格が)。
その上で父親殺しを仄めかされた上で出掛けてしまったので罪悪感めいたものを抱え込んでいます、そして、長男が疑われた時に、もうちょっと積極的に動けたんですよ。まあその、仄めかしてきた相手を示唆すればいい。でも婚約者のことでそれを躊躇った。
婚約者は長男への金銭的な負い目やら、次男への感情の狭間で揺れ動き。


三男はひたすら駆けずり回ります、こんな時に違う騒ぎまで起こしてんじゃない長男(てか、せめて後回したほうが;)。まあなんというか結論としては。
女のために揃って地獄行きになりそーなカラマーゾフ万歳、学習しろーーっ!