「空港のとなり町 羽田」宮田登

羽田っていうともう「空港の町」以外の認識がないというか、その地名があくまでも元漁村のものである、というところからピンとこないのではないかという気もするのですが、この本の中にも時々出てきていた私鉄の京急沿線の人にとっては少し違う印象なんじゃないかなぁ、前にNHKのタモリさんの番組でも取り上げられてたよね。

もともと多摩川の河口で流通の要になっていたり、漁村になったのもそこまで古いというわけでもなく(要するに江戸幕府がもともと湿地に突然出来たっていう)、ほとんど近代の頃に現世利益を主とし、その周囲の娯楽を売りにした穴守神社というものが出来て、川崎大師の後背地として人の出入りが非常な勢いで増え。

たものの、戦後突然の米国側の勧告によって24時間以内の撤退を求められて(48時間って聞いたこともあるような気がするんだけど、波がなくて船が動かないとか結構無理があったから変わったのかなぁ、正確なところがよくわかりませんね;)、その後返還されたあとからがあれですね、空港になりまして、最近国際空港となりました、という。

ただ実はこの空港そのものがかなり古く、昭和の始めくらいなんですよね、民間空港って風情ではないのでちょっと正確には覚えてないんですが。

と、なるとそもそも米国の接収もそのせいで起こったってことになるというか。

 

この本は白黒の民間人の写真が主で、解説をしているのは日本の神事関係を扱ってる人で、短い文章ながらかなり密度の濃い内容になっており、しかもなぁ、誰が見ても波乱万丈の歴史を辿った羽田って土地の本だからね、ブックレット形式の薄い本なんですが、他の地域史などにも参考文献として載っているようなレベルの出来になってると思います。

なんだろ、2つの世界をつなぐための入り口みたいなものなのかなぁ、不思議だ。