「電気の技術史」山崎俊雄/木本忠昭

わりと細かい電気の性質に関しても触れられてはいるものの、どちらかというと大きな流れをざーっと読み流し、どのような順であるのか、日本がどのような時期にどのような欧米の技術との関係があるのか、というようなことを掴むための本かなぁ。
正直仕方ないんですが、一般的な電気の歴史の本だと日本の歴史なんてないしね。

ていうか電気の登場からその性質が理解されるまでにだいぶ長く、エジソンは電気の革命的な発明をしたというよりも、一大産業としての基盤までを築いたという意味で偉大な人物であるのだとか、電気そのものに関しては西洋と日本の時代の差がだいぶあるものの、電燈に関してはどうも相前後して導入されたのだとか。
あ、この本の中で欧州で初期電燈とガス燈とが競合していたという話を聞いて「あれ、日本と同じだな」と考えていたんですが、本当に時期同じだったんだ。
日本は時代は西欧などと比べると当然だいぶ隔たってはいたものの豊富な水資源に恵まれて、後から導入された国としては異例の発展をしたんだとか、のちに欧米との関係が微妙になって国産技術も発展したんだとか、「1号機輸入、2号機国産」という日本のだいたいの伝統通りの展開をしたよね、ということが言われてたんですが。
本当に新しい技術を開発するのは苦手だよなぁ、と巻末の原子力まで読むとしみじみ感じますね、改良に関してこれだけの技術力があれば不可能でもない気がするんですが、原子核融合の研究は欧米の10分の1で、資源のない日本が核融合技術に力を入れないのは世界の7不思議の一つとまで言われているそうです…すみません国民性で…。
電信の発展や電子機器などに関してもざざっと触れられていたんですが、まあ、1冊読むには悪くなかったかなぁ。ちょっとさすがに手に余ったんですが流れくらいはw