「奈良の寺-世界遺産を歩く」奈良文化財研究所・編

この本は、手に取った時点では寺巡りの本かな? と思ったんですが、内容というか研究の手法としては遺跡研究に近いんじゃないのかしら、という雑感、というより、寺が敷地をまず巨大化させていったところや、建築物がどの時代に作られたのかという検証や、現在残っているものからの類推なども、今までこの手の本って見たことなかったんですが、ここまで資料範囲が多岐だと確かになかなか言及しにくいかもね。
正直、もうちょっと早い段階でこの本に巡り合っていたかったです。
要するに東大寺興福寺はその前身となるような寺がそれぞれあり、周辺の敷地やそれこそ別の寺を飲み込んで肥大化していったのだということ。
私にはあまり馴染みがなかった「大安寺」という寺があり、かつては大寺というとその大安寺だったため、その東側に位置する寺が東大寺となった、という説明などなど。
時代順に見て行かないとわからないことが非常にわかりやすく触れられていましたし。
この本を書いた方たちはそれほど大した情報だとすら思ってなさそうだよなぁ。
まああれ、東大寺が作られる前後から調べてる人だと当たり前に把握してそうだもんね…。
というか他に存在していた西大寺(いや今もあった、と思います自信ないけど)も含めるとだいたい三角形の形に展開していたのかなー。
 
興福寺東大寺がその規模を競い合った、という、意味が取りにくかった内容も納得、ああ、徐々に境内が形成されていったんならそうもなるよね。
下手すると中に存在していた「院」がもともと他の寺だった可能性とかもあるんじゃないのかしらこれ。
東大寺興福寺で終えてしまいましたが法隆寺なども触れられてなかなかの内容でした。