「リガの犬たち」クルト・ヴァランダー・シリーズ2、ヘニング・マンケル

リガの犬たち (創元推理文庫) リガというのは旧ソ連邦構成国、最初に独立したラトヴィアの首都のことで、大雑把に言うとこの本の舞台になったのはその独立の直後の設定で、まあ、ぶっちゃけましてこの本が実際に当時のラトヴィアの雰囲気を知るのにいい、と言うつもりはないんですけどもね(なんかリアリティがないんだよなー、なんでだろう)。
ただまあ、こういう状況が実際にありえたんじゃないか、というのは納得。


スウェーデンの海岸線にてほとんど偶然のように漂流するゴムボートが発見され、その中から、まるでお互い守りあうかのように奇妙な形で折り重なった青年らが(実はこの辺の謎は解けないまんまだったんですけどね、なんでだったんかなぁ)見付かり。
じきにこの青年らの身元が判明、ラトヴィアから軍人が引き取りにくるものの、なぜかこの人物が帰国後に殺害されてしまいまして、すっごく間をすっ飛ばすとほとんど私人の立場でラトヴィアくんだりまで行く嵌めになり(別に嫌々とかではないですが、当人が乗り気だったかというとそんなことも全くなく)、せいぜい身分保障は殺されにくいよ、という程度のものだったんですが、そんな程度の立場でラトヴィアの地下組織のために奔走させられるようなことになってしまうという、ハード・ボイルドと表現してる人がいたんですが、そんなこともないよね、というそんなお話よね。
そもそも遺体引き取ってった軍人の未亡人にぽーっとなったのがその原因みたいな部分もありましたしね(ヴァランダーさんは奥さまには逃げられましたとも)。
1冊めと同じく、なにもかも中途半端に謎だらけで事態は曲がりなりにも収束、せいぜい確認が取れるのが未亡人の生死くらい、という本にすっきりしないというのもわかるんですが、その曖昧な部分が逆に唯一のリアリティな気がするんだよなぁ、私は。