「現代イラン−神の国の変貌」桜井啓子

1979年のホメイニー師(って言ってることたまにあるよね?)の革命によって、それ以前の近代化路線を捨てたイランはイスラム国家としての道を選び。
そして正直、ホメイニーさんは若干戦争が得意ではない上、隙がないでもなく国内勢力の取りまとめに苦労するために弾圧に近いようなことも行なわなくてはならないところはあるにはあったんですが(悪い人ではないですが、むしろ強権的ではないから揉める)、しかし一旦滑り出したシステムの現実への適応度は非常に高いというか。純粋に政治能力が高い。
信じられないところから信じられないような成果が上がるところが素晴らしい。
よくよく考えてみたらアメリカが好む政治家って戦争上手いけど政治はいまいちだよね、ホメイニーさんはちょうどその真逆でほとんど宗教指導者の中から台頭、欧米化をしていた国内をイスラム遵守の姿勢に戻してしまい。
しかし事態が行き詰った場合に見せる姿勢は常に妥当なもので、そもそも女性に伝統的なチャドルを着せはしたものの(社会的に後退)、選挙権も参政権も最初から与え、男子と女子の学校は分離したものの女子の就学率を上げ(男女が完全に別けられているから先生も女性な上、服が身体を隠しているので保守的な家庭もそれを受け入れ)、結果家を担う男性よりも高学歴女性が増えた等々の兼ね合いですでに女性副大統領まで出してますww


基本的にアラブ系の国の欧米化ってどっか無理があるものですが(アジア系は徹底アレンジ)、制度は一つであるべきじゃないっていう見事なまでの好例だなぁ。この国。
まあ、イスラム遵守の姿勢から始めたとはいえ、その後時代の要請に合わせて文化としてのイスラム、と地滑りした辺りなどは純粋に時代の変遷を感じますがw
私は恥ずかしいことに、紛争とイスラム国としてしかこの国を知りませんでした。