「ポルトガル史」アルベール−アラン・ブールドン

いわゆる完全な編年体の本というのではないかと思うのですが(中国でのそれは数年単位なんですけどね、これを君主に置き換えての通史)、事件の大雑把な概要しか描かれていないというか、なんっつーか諸外国の影響を受け続けなんだなぁ;
目立つところでイギリスとの間に貿易の優遇措置を受け(相互ね)、イギリスからの綿製品の輸入、ポルトガルからのワイン輸出が盛んに行なわれ、「工業化の道を閉ざしたのではないか」という意見もあるそうなのですが、どうもイギリスへのワインの流通はわりと確立していたもののイギリスからの綿製品は欧州他国の密輸品も横行し。
まー、ぶっちゃけてイギリスは大概周辺国にとっては嫌な国ですが、ことポルトガルに対してはむしろスペイン(隣国)やフランス(その隣国でこの隣がイギリス)との関係が悪いためにポルトガルに対しては多少の優遇措置を取る必要があったみたい。
それよりもむしろ、植民地ブラジルで金が発見され、輸入対価を金で支払うようになったことのほうがよっぽど悪い影響があったのではないのかと。金鉱脈ってよく知られている通りいつまでも持ちはしませんからね、そしてその間に国内競争力は廃れ。


そもそもが長い国境線を共有するスペインの影響を受け続け、時に同一化されそうになりながらも“ポルトガル”としての国境、アイデンティティを保ち続け(どうもそれは民族に由来するそうなのですが)、一番早く植民地開拓に乗り出し、一番遅くまでそこにしがみ付き、その間に国力を疲弊させ続けました。
正直、時に改革を目指す君主が現れはするのですがほとんど花開かず費え。
延々延々と続く記述はいつまで経っても代わり映えがせず、けど、「酷い」君主もいないんだよね、誰が悪いって言うんだろうなぁ、これ。