「図説 占領下の東京 1945-1952」佐藤洋一

まず初っ端からGHQにこの著者さんが「取材」に行ったところ非常にフランクになにをすればいい? と聞いてきてわざわざその通りにしてくれたりとか、それを見て、日本人は大陸で中国人相手になにをしていたのか…、という反省に至っていたのですが。

そうやって直接対峙してればまあまあ親切なんだけど、いざ地図を作ろうとすると自分たちの居住地域とその間をつなぐ交通網のみでしか日本を認識してなかったり。

個人宅を接収して自分の生活スタイルのために無造作に家を改築するし。

周囲に大変な生活をしている日本人がいても省みない、というのは前2つはともかく最後のは当然だって気もしないでもないんですけどね。これ自国、というより著者さん自身が経験したことだから客観性がなくて当然なのですが、戦争責任国が敗戦国になって占領されて、という状況ではっきり言ってそこまで酷いっていう内容でもない気がします。

今の沖縄問題にも通じる一面があって、今、沖縄でアメリカ軍が同じような感覚でいるということになるとそりゃあどうよ、とは思うんですが、この時代だと仕方ない気がする。

 

ただ、それでこの本の価値が下がるかというと、当時どんなふうに接収が進み、彼らがどんな生活をしていたのかってことを多少の怒りを込めて記録してるってこと自体が一種の一次資料になっていて、それ自体が悪いものでもないな、という気が。

さすがに女性駅員が米兵に「媚」を売っているのを見てこんな奴ら(女性)に参政権を与えなくてはならないなんて! という憤慨してるのとかはどうかって思うけどねw

正直、個人宅接収や細かい地域別けなんてことは知らなかったんですが、概ね「ギブミー・チョコレート」の認識からそこまでズレたこともなかったかしら。丸の内に現存横田基地調布飛行場、多摩飛行場、キャンプ座間とか、案外今でも痕跡残ってるんだな。