「豪閥-地方豪族のネットワークを追加」佐藤朝泰

豪閥というのは豪族+閨閥、という程度の意味らしくて、もともとこの著者さんが書いていた『閨閥』『門閥』の本を書いていた時点で絡まってくる地方の有力一族に関してまとめてみよう、と思ったのがこの本だったそうなのですが。

正直あれですね、前の2冊だったらある程度の全体の流れもあったのではないかと思うのですが、さすがに内容が前の本の隙間部分なため、一つずつの家にどうも共通点がないというか、たまに閨閥が絡まっていたり政治家や知っている企業、たーまに知ってる人とか出てくると読みやすいんですが、まあ大まかに知らない家を延々と読んでる感じかなぁ。

たまにエピソードが出てくるにはくるんですが、知ってる人(東武鉄道の根津、阪急の小林、東急の五島辺りとか)の話もなんかちょっと一般的に知られてるものでしかないので、正確でないのは絶対量から仕方ないんですがこれだけで面白いってほどでもないしなぁ。

(要するにゴシップとかスキャンダル、知ってる人なら面白いかもだけどだから知らん、この本特にエピソードだけで驚くほど無茶な人もいなかったしなぁ。)

(放蕩で家が潰れかけたという息子が出てきたら海外作家ラスキンのコレクターでした、父親にとっては悩ましいかもしれないけど、傍目に恥ではないよな!?)

 

とはいえ、醤油の家が並んでたり、大衆薬という区分があるのだな、というこをここで知ったり、鉄道は逆に私には詰まらなかったけど、あ、名前知ってるって感じで読める部分はそれなりにあるんじゃないかな、一つずつの家だけでは特に面白くはないんですが全て読み終わったあとで、なんとなく産業界の輪郭として頭の中でつながった気はしています。

あと、単に名門地主ってだけでなくて、一族支配が破綻してもそれでも評価されるだけの功績を残してるところが多いよねってのには納得。長く続くことの価値はあるよね。