「葬儀を終えて」エルキュール・ポアロ25、アガサ・クリスティ

 

とあるじいさまが些か唐突に亡くなり(死期は宣告されてましたが)。

その葬式の席で、老女になっても小首を傾げる癖の残っている彼の妹・コーラが無邪気に言い放ちました「だって、殺されたんでしょ?」と。まあそれは当人も変なこと言っちゃったわ、と取り繕っていたわけなのですが、そこにいた弁護士の胸にはさっくりと刺さり。

後にその妹が斧で頭カチ割られた時、ポアロ氏に連絡する運びになりました。

 

強盗ではないかと言われてはいたものの田舎で大した盗みもされているわけでもなく、同居の女性(結局、家政婦さんということでいいのかしら)がほんのしばらく席を外した隙というタイミングで殺され。そしてその後、妹・コーラから財産を送られた親族がその同居の女性を訪ねたところ、その彼女が毒殺されそうになるという事態にまで進展。

ポアロさんが殺人は癖になる、癖になる、と繰り返し呟いているわけなのですが。

確かに余計な隠蔽工作しなきゃバレなかった気はする。いろんな意味で。

そしてある意味で、たったそれだけのために殺人を? と聞かれたことが一番の罰なのではないのかという気がします。だから逆に疑われることもなかったはずなのに、という意味なのかもしれませぬ。最初の芝居は良かったのになー。

個人的には毒殺未遂がちょっとね、私は引っ掛かりました。

 

女たちは強く夫のためならなんでもする者揃い、夫たちはそれぞれ奇妙な動機で殺人をしかねない(俳優の人はまあシンプルにお金のせいでしょうが)、そういう一家の話。

ポアロさんがなにを悩んだかというと誰がやっててもおかしくない! という状態。

親族同士もてんでばらばらの相手を疑いあってるしね…、いやわかるけど。