「甲州財閥 日本経済の動脈をにぎる男たち」小泉剛

ええと、甲州というのがそもそも甲府のことを指しているので、山梨県か(いや長野か山梨かってことしか漠然と覚えてなくて;)、この地はかつて江戸時代に江戸の防衛に関わる甲州街道が通る関係上幕府直轄地にされ、要するにお殿様がいたわけではないんだよん、ということが実際に独立意識を高めたのかどうかは知らないのですが、まあ実際当時からそう認識はされていたらしく、「灯かりと鉄道」、要するにインフラに拘った方らが多くいたんだよ、というのがこの本なのですが。

東武鉄道を立て直した根津嘉一郎さんとか、甲武鉄道(今の中央線の八王子-東京の辺り)に関わった雨宮敬次郎さんとか、東急電鉄に関わった五島慶太氏とか、阪急電鉄や宝塚少女歌劇団に関わり、東京電燈(今の東京電力の中核的前身)の建て直しに関わった小林一三氏だとか、地域的に知ってる人は知ってるだろうけど正直誰でもって言われると微妙か、というか、創設に関わった例が微妙にないんだなここ。

雨敬さんなんかはその後いろんなところに創設から関わってくんだけどね。

あと、東京市電の前身の一つだった東京電車鉄道とか東京市街鉄道とか(どっちも甲州財閥系で争ってたけど)、んーと、日本初の地下鉄の早川徳次さんとか、東京市街初のバスである通称・青バスなんかが甲州系の人、ということになるのかな。

ただここで出てくる“甲州財閥”というのはあくまで出身地を指すだけですけどね。

 

雨敬さんは市民から搾取するとはなにごとだって市電の値上げ拒否るし、根津さんなどもあれ投機してるかもしれないけど経営真っ当、というか常道だよね。乗っ取り強盗とか言われてた人なんかもいるけど、うーん、いまいち共通点があるって印象でもないな。

共通点あるとしたら叩き上げとか無学とか、形のあるものに拘ったって辺りでしょうか。