「水の東京」ビジュアルブック江戸東京5、陣内秀信

もともと図書館に並んでいるのをわりと長いこと眺めていたシリーズで、江戸から東京に変化する近代には興味があるものの、江戸そのものは微妙に外れるので少し迷っていたが、著者さんの名前を知っていた(地中海の建築研究の人ですね)こともあって手に取ったんですが。

例えば戦後の急速な都市の人口膨張によって川が限界まで汚染され、むしろ当時は「自然環境改善」の名目で川に蓋がされ、下水道として使われたこと。

明治の終わり頃の大きな洪水を期に、今の東京の東側で河川の大改造が行われたこと(明治43年だったかな? 工事は19年も続いたそうですね、荒川放水路は古い地図などを見てると重要事項としてよく出てくる存在です)。

 

そして今、お台場を中心にしたウォーターフロント構想があって、と言われると、別にそこまでマイナスのイメージがあるわけでもないものの、進んでいるのかどうかはちょっと微妙ですね。同じく高度経済成長期、東京オリンピックを目前にして高速道路に「蓋」をされてしまった日本橋

高速道路関係の本で日本橋なんて本当に価値あると思ってる人いるんですかね、見たことない、という文章を見たばっかりなので、かつて日本橋こそが江戸の象徴として描かれていたのも知らんのか、と今思い出しても腹が立つのですが、ははははw

神田川に掛けられた橋の形がそれぞれ違い、行き交う船から眺める意味があったことすらも今は意味が失われてしまい、海上交通はどちらかというとわざわざ行くものになっているという現実もあるのですが。

全てが戻って来なくても、過去を一概には責めなくても、やっぱり水辺に行ける機会があるのならばその対価を払ってもいいなぁ、という程度は、現代人も本心だろうと思います。