「もう一人の「三菱」創業者、岩崎弥之助-企業の真価は二代目で決まる!」河合敦

もともと最初に三菱商会、かな? 名前がいろいろあるみたいでちょっと迷うんですが(三菱商船って呼んでいたのがなにが元かと思ったらそういう名前の学校があったのね、わりとばらけて表記されてる感じですw)、この三菱系の海運会社のことを知ったのは浅田総一郎に関しての本で、それ以外でも大概評判が悪く。
三菱銀行史』でははっきりと口にはしていないものの、ライバルである共同運輸側のほうをはっきりと褒めているので、まあ、あまりよろしいイメージはなく。
政府が三菱郵船に特に庇護を与えて来なかった、というのも、あんまり大した意味がないんじゃないのかなぁ、と思っているので多分この本とはだいぶ立場が違うんですよね。
(この本の中で語られていた政府主導の前の日本国郵便蒸気船は殿様商売で自滅した、と言われてるんですが、その時点では良かった三菱はあとの時代になると独占業者としてだいぶ目に余るところがあったというのが通説ですね。)
だいたい、渋沢栄一はまだともかく、雨宮敬次郎だの浅野総一郎だの三井系の人物だの、どう見ても政府主導って面子じゃないだろ、と考えてしまうんですが、まあ所詮、素人の耳学問との食い違いというだけなので別に大したことでもないのかもしれませんが。

三菱銀行に豊川良平が関わっていたとか彼がどんな人物だったかとか、福沢諭吉を尊敬していて慶應義塾の人材をたくさん採用していたとか、国立第十九銀行の顛末とか(国立から私立銀行になる段階での改編だったのか)、そういう妙に細かいネタが面白かったんで読んだことには特に後悔とかはないんですが、共同運輸と合併したあとの日本郵船の事情とか丸の内の土地を購入した資金源とか、他で見られる部分が欠けててちょっと不思議。
単に他の本で読めるから省いたってことでいいんでしょうか、評価しにくいなぁ。