「刀剣」カラーブックス175、小笠原信夫
一旦読み終わってぼんやりと見返していたんですが、あ、そうか、あんまり見たことがない刀の写真があったりするのは、著者さん自身の行動範囲なんかにもよるのかもしれない、と思わないでもなかったんですがカラーで刃紋までわかるのすごいよなぁ、あと、刃傷と矢傷だけは頑強さを示すものとして尊ばれる、と聞いたことがあったんですが、それっぽいのが残ってる写真は初めて見たかも。
(まあ刀の本でも写真がそれほどないのもあるからなぁ、かなりの数だと思う。)
で、もう一つ良かったのが巻末の辺りにある刀工なんかの歴史ですね、私どうも新刀の時期がよくわかってなかったんですが、これだとだいたいはわかるかな。
鎌倉時代に実戦刀が全盛で、室町くらいになるとほとんど実戦に使わなくなってしまう、ということが言われてるんですが、どっちかというと「残ってるものは戦には使われない系統のものだけ」という認識したほうがいいんじゃないかしらこれ。
どうもそこのところが微妙に食い違ってて気になってたんだよね、別の本ですが、一騎打ちが廃れて集団で槍を持ったり鉾を持ったり、というのと連動してる気がする。槍は特にあとの時代にほとんど残ってはいないものの、実際にはかなり使われていたんじゃないかな、と言われてますが、集団で槍構えたら確かにあんまり技術いらなさそうだしな。
平安くらいに直刀から湾曲がある今と同じスタイルになって、その過渡期はほとんど残っていないとか、短刀や脇差がほとんどないけれどまあ実際には使われていたのではないかとか(鎌倉初期くらいにすごく短刀残ってるのはなんでだろう? 吉光はわかるけと)、刀工の細かい記述に踏み込むと混乱するものの、流れはそこまで不明瞭ではないみたい。
ある意味でこのくらいざっぱりと枝葉落としたところから読んだほうがいいかも。