「<出雲>という思想」原武史

<出雲>という思想 (講談社学術文庫)

<出雲>という思想 (講談社学術文庫)

 

 

当然古代史の本だと認識して手に取ったところ、いわゆる近代に展開していた祭神論争(一応政治関係で少しと、神道関係だと聞くことがあったんですが)に関しての話で、正直なところ思ったよりもずっと生臭い政治の話だった、ような気が。
まあ、それぞれの派閥でテキストとする論文はあるんですけどね、あるんだけど、どっちもどっちというか「そもそも両派ともなんで一番メインとなる文章無視るん??」というところから著者さんが始めてるところからしてあれですね。
確かにこの本の論旨の確証はないけれど、現状の正道のほうがよっぽど酷いわ!

あと、正直大宮って名前の土地がなんで埼玉県の県庁所在地じゃないんだろう? と前から思っていたんですが(なんかしらの文脈でそっちから繁栄が移った場合、名前のほうが変わっているべきだと思うんだよね)、なんだ、普通になんでだかわからん、のか。
しかも氷川神社武蔵国の中で出雲系という認識で扱われたのか。
(当然ここで、大国主と同一視された武蔵府中の大國魂神社を思い出したけどね!)(この本の中でなんで本気でガン無視されたんだろう、政治に無関係だったのかなww)
てか普通に出雲国造としての地位のある千家の一族が、政治運動したら普通に権威の上で天皇にも匹敵してしまうというか、民衆人気ではむしろ圧倒的、ということが語られていたんですが、これだけ見ると本当かなぁ、と思えても、むしろこのあとの明治天皇から大正天皇までの行幸のやり方見てると意識してたってに認識したほうが良さそう。
大雑把に権力の側に沿い続けた伊勢派(=アマテラス)は、しかしそれを明言すると民衆人気が圧倒的な出雲派(=大国主)にどう反撃されるかわからないって話よね…要は。
氷川神社の一瞬の持ち上げと、権力剥がしの部分も露骨でえぐかった、歴史面白いね!