「その男、はかりしれず-日本の近代をつくった男浅野総一郎伝」新田純子

この本の中に出てきた人物の中で全くわからなかったのが(いや名前を見たことくらいはあるんですが、周辺読んでるし)、どうも日本郵船に深く関わってる郷誠之助とその父親である郷純造だったんですが、郷純造が川崎八右衛門の舅ってのもなんか重要案件っぽい気がするなぁ、川崎銀行財閥ってどちらかというと三菱寄りだったんだろうか。
(ただ、この本でぽちぽち名前が出てる分、完全に岩崎アンチだった浅野総一郎ともそんなに悪くない関係っぽいですよね、日本郵船が微妙な位置だったってことなのかしら。)
まああくまで小説なんですが、完全な浅野寄り視点によって資料を読まれた方のようなので、伝記寄りの読み方をしてましたが、よくも悪くもというか、敵対者や第三者の身分紹介が時々間違ってるというか、日本鉄道は井上勝が代表者でもないし、あれは一応私鉄だよねww 当時は国が建設代行してた関係で政府系の井上勝に話を通したのかな、とは思うのですが解説が妙に曖昧になってて苦笑い。
「三井の番頭さん」と呼ばれてた渋沢栄一を岩崎寄りの人物とだけ語ってるしなぁ。
別にそんなに単純にぱっきりと陣営で人間が別れてたわけではないよ、とだけ認識すれば良かったんじゃないかと思うんですが、まあ浅野総一郎が生涯立場を変えなかったのでそういう視点で資料が編纂されていたのかなあ、と思わないでもないんですが、想像です。

少し前に非常に家族的な経営でもって現在の常磐ハワイアンセンターに至るまでの系譜ともなった常磐炭鉱にも関わってたってのも初耳、コンクリート産業の発展に寄与した人物ってのは知ってたんですが、ああ、これで主に築港してたのか。東京湾は結局どうなったんだろう、会議に参加してたところまでは語られていたんですが。
死ぬまで拡大傾向があったよ、というだけで、けして野人ではないよね、うん。