「なぜ人は地図を回すのか-方向オンチの博物誌」村越真

図書館でこのタイトルが目に付き、手に取ってみたら案の定というか方向音痴の人(というよりは「方向感覚」に関して)の本だったのですが、正直もうちょっと方向音痴ネタがあると嬉しかったです、ていうかNHKの特集見たかったよ文章だとわかりにくい!
欧米だと能力の欠如として隠す人も多いというこの方向音痴、日本では隠す人もいるものの明言する人も多く、実際の能力的にはさして変わりがないものの男性よりも女性に明言する人がいる、というのは多分世間に流布してるイメージの関係もあるんだろうなぁ。
脳の構造による、というあの説明、あれ男性脳女性脳って言われてますし、確かに性ホルモンが脳の形成に関わる時期に分泌されているんですけども、性ホルモンってそもそも両性に普通に分泌されるしなぁ。腰とか胸とか髪とか体毛以外ですら個人差がかなりあるし、脳の形成期のみで全てが決まるかっていうとそんなこともなく。
そもそも空間認識能力に関しては複数のパーツ、方法論に別れていて、訓練に依存する部分がかなり多く、「目的地に到達する能力」としてもっとも大切なのではないか、とされていたメタ認識などに関しては(自分を俯瞰する能力みたいな)、男女差は特にないようですしねー、地図はそもそも男女共に読めてねぇよ、とか言われると結構ややこしいw

この本の中で性差やそれぞれの認識に関して、カーナビや機械による位置認識機能などは要するに記憶力や計算能力のようにきちんと数値で見ることが出来るわけではない空間認識能力とはそもそもなにか、ということを説明するために差異や実際には差異が存在しない例を多く挙げるというスタイルになったのではないのかなぁ、と。
ところでラスト辺りで方向音痴も楽しいのかもしれない…、とふと結論付けていたのにちょっと笑ったんですが、もう少し早く開き直って欲しかったです。迷うの楽しいよww