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「幽霊-近世都市が生み出した化物」歴史文化ライブラリー433、髙岡弘幸

そもそも柳田國男に対しての特に感慨がないというか、民俗学への興味が薄いところがあるのですが(全く読まないわけでもないけどねー、多分この本の中でも触れていた類型化、キャラクター化が肌に合わないんだと思う)、どちらかというと柳田氏が妖怪を愛し、幽霊を徹底的に排除しようとした部分に関してはその分析を聞いていくと共感に近いものを覚えたように思います。
幽霊は要するに都市に現れ、妖怪は田舎に現れる。
都市に現れる幽霊はその現れるのに際して明確な意味と目的、話の結末を伴い、農村に現れる妖怪たちは意味を持たず現れ結果だけをもたらし、その結末は語られない。
そしてどうも妖怪というのはその出現に関してのエピソードが失われ、特徴のみが残ってしまったものを指すのではないか、という分析を聞いてしまうとまあ、正直なところを言うと学問としてはどうかと思うんですけどねw
まあただ、柳田氏にそういう偏りがあろうがその偏りすら妖怪と幽霊の違いを別けるのに有効であった、と言われてしまいますと、門外漢がどうこう言うことでもないかな、と。
実際、幽霊と妖怪はどうも全く別の方法論で成り立っているというのは面白かったです、幽霊が表れる場というのは要するによく知らない他人がいる土地なんだよね。
田舎の、知ってる人たちがいる閉鎖空間にはオチも目的も語られない妖怪が出る、と。
そこまで言われてしまうと妖怪のみを愛する気持ちもわかる気もするなぁ。
 
そして後妻の前に現れる死んだ妻の霊の話が異様に多いのは、それは一つの社会の傾向を示しているのではないかなあ、という説に確かに納得。
分析の最中はちょっとかったるかったですが、「誰が殺されるのか」からが俄然面白い。