「中世日本商業史の研究」豊田武

1957年(昭和27年)の刊行、正直、この辺の資料って今まで読んできた中世関係の本の中で見たことないんですが資料が分析出来ないのか忘れられたのか、あくまで途中までながら具体性があってすごく面白かったので残念でならないなぁ。
というか、わりと鋳物師や刀鍛冶などを目当てに手に取ったんですが、実際に中世の初め頃、かな? 商業が発達し始めの頃に行商人のような位置にあったのがどうも鋳物師関係の人たちだったらしく、多分製造コストみたいなものが関係してるんだろうなぁ。
要するに他所の国まで移動しても採算が取れるかどうかの問題だよね。
ぽちぽちと鋳物師のことが一覧になっていたんですが、寺や神社に属しているのは座の存在があるからわかるものの、大江とか藤原などの名前があるのが気になる。あと多かったのが三条なんですが、これは商業地域として発展していたってたまに聞くな。
で、その地や京都の主要の口である粟田口に刀鍛冶がいたらしいって話も。
鋳物師の一覧だと地方の官位持ってる人がぽちぽちといて、刀鍛冶の受領を思い出していたものの、この時代っていうか中世の初中期だと普通に官位の意味あるよねぇ? 地方にもぽちぽちと鋳物師や刀鍛冶が増えていってたってことだと読んでいいのかしら。

それと市場や都市、いわゆる戦国大名や豪商などの存在も語られていたんですが、結構地域がばらばらで傾向を推測って意味では難しそうな気もするなぁ。
学校の勉強だと比較的「楽市・楽座」だけは覚えてるって人も多いような気もするんですが、これは要するに制限を取っ払って商人を呼ぼうとしたって政策で、多分どこかが始めたんでしょうが、一般的になるとどこも多分横並びだったんだろうなぁ、とほんのり考えながら読んでましたw 具体的な歴史って面白いんだけど大変だなぁ。