「貿易の知識」小峰隆夫

よくよく考えてみれば戦後施行された(今はもうないっす)“管理通貨制度”ってなにをしているのかは知っているつもりでも「なんのために」ということを今まで意識していなかったような気がするのですが。
それゃまあ、貿易やらそれに付随する(とも限らないわけですが、最近)、海外投資によって起こりうる変動は、一国で対応しようったって無理がありますわね。
近隣国を経済的に救った、という例は数例ありますが、これも後々揉めるしなぁ。


書籍サイトのブックレビューにあったんですが、非常にいい意味で教科書的で、事態の細かいところまでは立ち入らず、物事のつなぎとつなぎがわかりやすい。
戦後、戦前の≪世界恐慌≫を反省した米英がブレトンウッズ体制を敷いてIMF(管理通貨制度)とその他諸機関を設立し“固定相場制”を開始するも、国同士の関係が大きく変動する中(具体的には日本と西ドイツの回復とそれ以上の隆盛)、徐々に破綻。
ニクソン・ショックとも呼ばれる制度停止の宣言を経て現在の“変動通貨制”に。
で、ここまで書いていて初めて気付いたんですが、どっちかというと貿易そのものの制度より、それを裏から支えるための制度の本だったのかなー、ということも。
それと余談ですが、ニクソン米大統領はベトナム戦争のわりと末期の頃の人で。
ニクソン・ショックが1971年、この後、1975年に戦争終結。
(つまり経済的以外でもアメリカの国力そのものが低下していたことになるのだろうなぁ、と思っています、それでもその後、ドルが基軸通貨となったわけですが。)
他に貿易、主に関税を決める条約機関であったGATTが、常設のWTOに、という流れも大雑把に説明してあったのですが、やっぱり本の比重としては通貨かなぁ。