「「跳ね鹿」亭のひそかな誘惑」警視リチャード・ジュリー6、マーサ・グライムズ

いつものように雑然とした事件背景(とどう贔屓目に見ても事件にさして比重があるとは言えないただの関係者諸々、面白いからいいけど、というより、、、ひょっとしたら、ぎりぎりまで事件に関係あるかないか隠すためにわざとやってる気も...orz)(逆に、作風が「こう」だからこそ、そちらに発展した可能性ももちろんあるのですが、少なくともこの本と次の本は確実にそうですよね、今読んでるのはそこまでです)と、超然とした存在感の子どものことを受け止めていたら、ラスト辺りでぱたぱたと裏切られて。
え、えええ、え、この結末?! というこの本。
ただ、ショックはショックで、そして読み終わった時点では唐突だった感は否めなかったんですが、それが評価を引き下げるかというと、多分逆なんだよなぁ。
むしろその衝撃そのものが意味があるというか、なんとも辛い。


とある村で、まるでそれ単体ではなにかの弾みのような動物の死が立て続けに起き、最初に老女が死んだ時に側に居合わせたのはジュリー警視やメルローズの知り合いの女流推理作家だったために後に自然死と判断された事件に関わることになるのですが。
彼女がどうも自分の仕事の郵便事業の傍ら手紙を覗いていたらしいこと。
その手紙の中に、最近近くの富豪の女性に引き取られた少女に関する奇妙な文面があったことや、その後も続く「事故死」のために結局滞在を続けることに。
本当に、完全にぎりぎりになるまで犯人は判明せず(そもそも事件背景に犯人を示唆する情報がなんもないんだよね、動機だけがわかってるだけ)、多分、それ以前の彼女の様子から見てだいぶ豹変したと言えるのかもしれないんだけど。
なにかその狂気も起こってしまえば納得出来ないわけでもない、辛い。