「戒厳令下チリ潜入記−ある映画監督の冒険」G.ガルシア・マルケス

まあガルシア・マルケスの名前くらいは聞いたことがあるにしても(南米の小説家、というところまでが出てきて、あとはどこで聞いたかも思い出せない)(のが私です、そして多分この手の人はけして少なくないかと思います)、チリという国の形までは頭の中に思い浮かべられても(細長いあれですよね)、さて、この国が今、そしてかつてどんな政治体制にあったかな、ということになると、ものすごく頑張って「く、クーデターはあった?」というところで終わるものではないかな、というところで留まるような気はします。
そしてこの本を読んで、大統領と詩人が革命を志し。
教会がなんとか最後の牙城として国民を守ろうとするもほとんど孤立無援。
娘と息子に対する拷問(多分、さしたる嫌疑の内容でもなかったのではないでしょうか)を止めさせるために、ただ一つ父親が出来たことはガソリンを被っての焼身自殺。
市民はこの名でその通りを呼ぶことにしたものの、街は綺麗にはなり、観光客も戻り、しかし、亡命者たちはまだまだ帰れない、というような国。帰国を切望していたとあるチリ人の映画監督が、帰国を許されたリストの中に自分の名前がない、と知った時に、この国の状況をフィルムに収めよう、と思い立ったというそんな顛末。
でもまあ、当たり障りのない映画はもう撮ることが出来るんですよね。
なんちゅーか、ある程度名前の知れた映画監督を変装(しかも素人ですし)だけで国に戻そう、とした時点で最初から向こう見ずだよね、この話。


その道中で、まあ、映像には残ってないところを文章に残しておこうか、と筆を取ったのが小説家のガルシア・マルケス、街はいまだ軍事政権の手の中、当面の平穏は取り戻し、さて、この本の後、国はどうなったのか、今の私には調べ方すらわかりません。