「所沢車輌工場物語(下」RM LIBRARY-31、西尾恵介

所沢車輌工場ものがたり〈下〉 (RM LIBRARY(31))

所沢車輌工場ものがたり〈下〉 (RM LIBRARY(31))

 

 

前に西武鉄道の本で見た目はぴかぴかで綺麗なのにツリカケ式(という旧式の台車)だったという車両という話を読んだことがあるのですが、多分それこそが所沢車輌工場の仕事だったんじゃないのかなぁ、電気機関車蒸気機関車や、国鉄からの払い下げ車両やら、小さな支線ために元路面電車の車両までかき集めてきてはいたものの、整備もきちんとやっていたし、少なくとも見た目は綺麗に整えていた、ということなんじゃないかと思います。

ここ、戦後に他のところみたいな事故起こしてないんですよね。

 

で、どうも「箱根山戦争」(東急と西武の代理対決みたいに言われてるけど、正直どうなんだろうねあの話も)ののち、東急車輛にステンレスカーを受注した辺りから少しずつ仕事がなくなっていき、最終的には平成13年6月に武蔵丘車両研修場が出来て、ということになるようです。

地方私鉄への転出やら他から来た車両の改造なんかもしてたみたいなので、そこまですぐに仕事がなくなったわけではないようなのですが、半ばこの工場の仕事を作るために鋼体車両を新造してるって見られてたことはあったみたいだなぁ。ちょっと切ない。

上巻の戦後を乗り切るまでの時代はほぼ西武鉄道の歴史そのもののような内容だったんですが、下巻に入ると足回りがまず変化し、続いては車両の材質が変わり(アルミとステンレスとに選択が別れたみたいですね、この辺で)、ステンレス車両になると所沢工場では扱えないのか外注になり、そこからはほとんど工場廻りの話に終始し、最後のほうになるとほとんど後片付けのような記述に。

ただどちらかというと所沢車輌工場がそもそも、西武が戦後を乗り越えるための施設だったのなら、その役目はこの上なく果たしたんじゃないのかなぁ。いい仕事だったと思う。