「ワイン物語−芳醇な味と香りの世界史(上」ヒュー・ジョンソン

正直、ローマ共和制時代の大カトー(大っ嫌い)がカルタゴの良質なワインに嫉妬して同都市を滅ぼす決意をした、というのは「ホントかよ?」と思わないでもないものの。
あるいはイングランドが大陸フランスの領地アキテーヌの所有に拘ったのは、同地が輸出してくるワインのためだった、というのはありそうなことで(実際、両者が結びついたのがそもそも輸出がその理由だったとのことなので、どの道ワインではありますね)。
史上、ワインを作り始めたのがどこのどなたかはよくわからないものの、まあ気付いたら人類と寄り添うようにその器や葡萄の木の痕跡が発見され、例えばギリシャ文明もローマ帝国も飲んだくれたよ、という記録に事欠かず。
まあ別に、起源とはなんの関係もないけどフランスがワインを象徴してはいるよね。
という本を書かれたのはフランスとは海峡を挟んでお隣さんのイギリス人。
そもそもイギリスってのはどうも残念なながらワインが産出されることはない国のようなんですが(フランスとほとんど同緯度なのにねぇ? 湿度や霧のせいかしら)、歴史は知らないよ、と『物語』と銘打って言いたい放題という「らしい」内容なのではないかなと。


ワインはまあ、飲む人間にとってももちろん重要なわけですが、それを産出し、産業としている人々にとってもそりゃあ重要なもので。ローマ帝国でも属州に葡萄の木を植えろだの、値崩れを起こしてるから葡萄の木を抜けだの、いろいろな方針が錯綜し。
他に葡萄の種類の歴史そのものは存在するはずではあるものの、どうにも現代からでは辿るのに限界があるねぇ、とか、どの時代、どの地域でどのような器によってどんな運搬方法をされたり、どのようにして保存されたのか、といういろいろな話が。
聖職者さまもお医者さまも、ワインは身体にいいって言ってたとかそんな歴史の話w