「NICS−工業化アジアを読む」トウ照彦

んーと、ざっくばらんに言うといわゆる先進国(欧米+日本辺りですね)の影響力が低下したのち、中東の産油国を中心にしたOPECが台頭。
その影響力がやはり低下すると共に欧州の周辺地域とアジア数国が力を伸ばし(>これがNICS)。さらにその後、2度のオイルショックを経て生き残ったのがその中の“アジア・ニックス”。この本の主題ですね。
(むしろオイルショックを上手く利用したというか、日本が省エネ型機器の導入の際に旧型機器を払い下げて貰ったという持ちつ持たれつの関係なのだそうですよ。)
まあ、この本の出版されたのが1988年ですし。
その後、1997年の“アジア通貨危機”でもってまたも次の世代へと移行したもので、今はもうすっかり本自体は古くなってしまっているんですけどね(そもそも、アジアニックスはのちにNIESと名前を変えていますしね)。


この本の内訳は財閥系大企業が幅を利かし基礎研究が盛んな韓国。国として正式に認められていない状況下で(何故か)政治的な安定により中小企業が活発な台湾。
(もともと台湾は“国連安保理・常任理事国”なんですが、世界はややこしいw)
その意思がなかったにも関わらず「独立させられてしまった」都市国家シンガポール。
中国内自治区、かつてのイギリス領、正直、なぜそうなったのかを問い詰めてみたい無類の放置経済を誇る香港(ブラックマーケットすれすれというか、越えてないか;)。
普通の国である韓国が浮く体たらく、面白かったですとも!
NICS域内交流が少なかったらしいのもちょっと残念なんですが、せっかくなら日本のリーダーシップがあっても良かったよなぁ、とも思わないでもないですよね。