Book

「斧の文化史」考古学選書6、佐原真

とりあえず話の基本になるのが石斧と鉄の斧による作業時間がだいたい4倍程度の差しかない、というところになるのではないかと思うのですが、このあとに読んだ本で見た打製石器(これが俗に言う旧石器時代)と研磨石器(新石器時代)の違いだとどのくらいに…

「「神と鬼のヤマト」誕生」新史論/書き替えられた古代史1、関裕二

とりあえずほぼ全面的に受け入れられそうなのが纏向遺跡(邪馬台国の有力候補の片割れ)が平和的に形成されたんだと思うんだよね、という部分、これは今までの説も遺跡もきちんと踏まえてて正直わかりやすい。で、明言されているというほどではなくても邪馬…

「秀吉の朝鮮侵略」日本史リブレット034、北島万次

秀吉の朝鮮侵略 (日本史リブレット) 作者: 北島万次 出版社/メーカー: 山川出版社 発売日: 2002/07 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (2件) を見る そもそもさすがに愚行として教科書でも挙げられていたので記憶にはあったも…

「京都洛西・洛北散歩22コース」京都史跡見学会・編

この前に同じシリーズの「洛中散歩」を読みまして、あともう少し京都の地形に関わる本を、と図書館を検索していたら「洛東・洛南散歩」が出てきていたので次はそれを読んでみたいかなと思います(予約済み)。それと凸凹地形本と、古地図も予定中。で、大雑…

「古代を考える-近江」水野正好・編

これと前後して京都の洛北・洛西の散歩本を読んでいたんですが、洛西の辺りを語っているうちに近江の地域と話が混ざってきて「近江の散歩本で紹介していますのでそちらも是非」みたいなことになっていましたし、あと、ここの中に出てきた氏族が「愛知」って…

「天下の副将軍-水戸藩から見た江戸三百年」長山靖生

そもそも水戸徳川家が御三家になったのが一番遅かったというのはちょくちょく話に聞いているものの、「御ニ家」ってわけでもないだろうしなぁ、と半ば冗談のように考えていたんですが、あ、徳川家と紀伊徳川家、尾張徳川家で御三家だったのか、納得。初期の…

「京都洛中散歩21コース」京都史跡見学会・編

基本的にだいたいこの手の本を読む人はそうだと思うんですが、なにも歴史雑学を手に入れるつもりではなくて土地の起伏やつながり、連続性に関して読めたらいいな、というのが動機なんですが(これ、自分が好きなコースを見つけるのが主題であって、一日多く…

『日本の美術66 古代の瓦』稲垣晋也・編

日本の建築においては「屋根」に対しての拘りがあまりないのですが(西洋建築だとまあまずそこがメインなんだよね)、むしろこの瓦が圧倒的すぎて他の選択肢があまり一般的ではなかったというのが要因としてあるのかもなぁ。てか、なんで西洋では瓦が一般的…

「首都江戸の誕生-大江戸はいかにして造られたのか」大石学

江戸が首都であったと見做していると言うと「そもそも首都とはなんぞや」という疑問が出てくるのはどこの国の歴史を見ていてもわりと当然のことなんですが(君主制であって君主の居住地と政治の中心地が違うケースもままあるし)(アメリカも意外と悩ましい…

「近代日本交通史-明治維新から第二次大戦まで」叢書・現代の社会科学、廣岡治哉・編

この少し前に読んでいた『日本交通史』が1992年(平成4年)に刊行されて、こちらの本か1987年(昭和62年)か。で、正直なところ現在2015年もそこまで進んだ分野とは言い難いらしいんですが、少なくとも個別論文くらいしかなさそうだな…。鉄道…

「明治の外国武器商人-帝国海軍を増強したミュンター」長島要一

かつてフランス式で、のちにドイツ式になったという日本帝国海軍において、一時かなり大きな影響を持っていた思しきイギリス人の武器商人の本、なのですが。だいぶ高齢になってからの生活苦による登場の上、わりと中国(李鴻章はちょっと、近代兵器理解する…

「激安エアラインの時代-なぜ安いのか、本当に安全なのか」杉浦一機

正直この著者さんにはピーチ・アビエーションの評価を聞いてみたい気になるものの、LCCの本格導入(スカイマークや地方拠点路線は段階的存在という位置づけ)の少しあとに刊行された本なのでこういうタイトルになっただけで実際には「日本のLCC前史」…

「神道-日本が誇る「仕組み」」武光誠

現在「神仏習合」から「廃仏毀釈」に至って「国家神道」となるという神道の歴史系統の本を読んでいるところだったので、正直なところこの本がそちらより読み応えがあったかというと疑問なんですが、うーん、わりと取り扱い範囲や時代が広いという著者さんで…

「古代・中世の女性と仏教」日本史リブレット016、勝浦令子

古代・中世の女性と仏教 (日本史リブレット) 作者: 勝浦令子 出版社/メーカー: 山川出版社 発売日: 2003/03 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る 正直この本の著者さんはわりと一続きの教えとして扱ってはいるものの、「修行の場にお…

「家康はなぜ江戸を選んだか」江戸東京ライブラリー9、岡野友彦

かつて江戸東京博物館におられた著者さんは時折質問を受けるそうなのですが、そもそも「江戸」という地名は一体なんですか、というところから詰まるらしく、まあ湊って意味じゃないのかな、というのが妥当なところですかね。類似の地名が結構全国にあるし、…

「明治外交官物語-鹿鳴館の時代」犬塚孝明

結局この本の中でずっと悲願となっていた関税自主権(まあ治外法権は地位が同等になればそこまで問題でもなくなるんだ自然に、初期には一番揉めるけども)の撤廃はこのあとの時代に成功ということになるんですが、だからってその時代にだけ原因があるという…

「エアライン敗戦-格安航空来襲とJAL破綻」杉浦一機

本は2010年の刊行なのでJALの経営破綻、あの時はなんだったっけかな(これ書いてる2015年1月現在にスカイマークが民事再生申請です)、どういう事情なのかをよく把握してなかったんですが、高コスト体質なところでリストラが遅れ、2008年の…

「木戸孝允-「勤王の志士」の本音と建前」日本史リブレット人070、一坂太郎

木戸孝允―「勤王の志士」の本音と建前 (日本史リブレット人) 作者: 一坂太郎 出版社/メーカー: 山川出版社 発売日: 2010/07 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 5回 この商品を含むブログを見る この一つ前に読んでいた同レーベルの『大久保利通』が当人…

「房総地方史の研究」地方史研究協議会・編

中世の東国の本などを読んでいるとどちらかというと上総下総くらいが「文明の土地」として出てきて周辺の田舎っぷりと対象的に扱われていることがあるような印象なのですが、基本的には食糧倉庫であるというのが近世くらいに至るまでの共通事項として認識し…

「古事記と日本書紀-「天皇神話」の歴史」神野志隆光

とりあえず現在は『古事記』と『日本書紀』は別物であるらしいというのはわりと語られていることが多いものの(この本が1999年って15年以上前だよびっくりだよ)、どのような関係であるのかなんてのはあんまり見たことがないんですが。どちらかという…

「横浜正金銀行」教育社歴史新書 日本史146、土方晋

かつて「国内は日本銀行、国外は横浜正金銀行」という事実上の中央銀行の片割れとして存在し、一時期は国内の銀行の総取引よりも多額の取引を行い(含む日本銀行)(正直、横浜正金銀行の日本銀行への吸収案も出るわこりゃ)、戦後すぐに解体指定を受けての…

『岩波講座現代都市政策2-市民参加』

この巻で一番印象的だったのが市民同士の階級が相互に交流がなくなり、不理解が増える、という章だったんですが、これを「全権がないのに全権があると勘違いされる窓口の役人」で例えていたのがわかりやすかったんですが。多分これ、最近はそこまで数がなく…

「関東河川水運史の研究」丹治健蔵

とりあえずこれは完全な論文集なので、少なくともここから読み始めるべきではなかったな、とか、私はどちらかというた多摩川水系の人間なんですが(いや水道の水源が、とりあえず周辺に川ないです)、利根川水系のことはわからないなぁ、とか、ただ、少し前…

「地図で読む東京大空襲-両国生まれの実体験をもとに」菊地正浩

わりと最近語られるようになった東京大空襲の側面として、どうもアメリカ側は関東大震災の被害地図を元に無差別攻撃の目標地域を決めていたのではないか、ということを思い出しながら読むことになったんですが、この著者さんのお母さんやお爺さんの世代だと…

「江戸東京歴史散歩(2 都心・山の手編」江戸東京散策倶楽部

これの1巻で主に東側の下町(ってももとは江戸の市外地なんですが)や千代田区やら皇居なんかの東京駅辺りまでを触れて、この巻では港区や品川区なんか、千代田区と同じくお屋敷街や大使館なんかが多い印象なんですが、要するにかつては大名屋敷とか武家屋…

「維新期の街道と輸送」山本弘文

1972年の刊行でこのあと一回増補されているんですね、あー、いかにも補足出来る内容ありそうだしなぁ。すごく大雑把にかつて江戸五街道が幕府の手によって整備され宿郷・助郷制度によってその負担を分担していたものの、そもそも責任の所在が曖昧になり…

「神社とは何か? お寺とは何か?」PenBOOKS、武光誠・監修

神社とお寺での一番の違いは「拍手を打つ」かどうかの違いで、お寺では打たないからね、気を付けてね、だとか、礼は特に神社で重要みたい(ご挨拶らしいです、柏では気付いて貰うためって説があるんだね)、とか、お手水は両方にあるしややこしいよねー、だ…

「本当は恐ろしい江戸時代」八幡和郎

ものすごくざっくりと言えば江戸時代というのは中央集権が極まった状態で、江戸やその周辺が(上方はよく生活状態知らないんですよね)そこまで悪い生活ではなかったのは事実なものの、それは度々の飢饉による餓死者の頻発や、非常に自由度の少ない各人の犠…

「道のはなし(2」武部健一

そもそも「道」も「道路」も中国からすでに使われていた言葉らしくて、しかも道と出てくる場合には抽象概念が多く、道路となると完全に物理的な道でしかないという辺りも同じなのでちょっと笑ってしまったんですがwそれが文学や公式文書だけでもなく、現代…

「道のはなし(1」武部健一

この方はかつて高速道路に携わっておられてその時にしばしば高速道路がかつての「国分寺」の側を通ることから疑問を感じ、古代道路の研究を覗いてみたらそのルートの相似性がところどころで語られていた、という結構面白い経路を辿っておいでの方ではないか…