「子どもたちに語るヨーロッパ史」歴史文化ライブラリー216、ジャック・ル・ゴフ

ジャック・ル・ゴフ氏はフランスの中世史を主に扱う歴史家で、うーん、アナール派という比較的新しい世代の人だ、と捉えられているのが一般的ではないかと思うのですが、実際のこの人物の活躍時期が結構古いというか、今読むとぽちぽち違和感がある部分も。
(とはいえもちろん、あくまでヨーロッパの子ども向けのようなので、要約されているような部分は最初からあってしかるべきだとは思ってるんですが、大雑把に言うとヨーロッパの外の地域の評価がちょっとなぁ。)
(そしてユダヤ人への深い罪悪感は解説にばっちり理由が書いてありましたw 『アイヴァンホー』のユダヤ人の娘さんは確かに可愛いよね!)


日本人だと、うーん、小学生は無理で早い子だと中学生くらい、高校生くらいだともう読める子も結構いるかな、というレベルではないかと思うのですが大人だったらまあまず問題なく読めるかと、正直「円卓の騎士は実在していないんですか?!」という反応のほうにびっくりしたのも日本人には結構多いような気もしますw
アーサー王が確かモデルはいたんだっけ、半伝説の人物だったよな、という程度。
冒頭から「ヨーロッパって本当に“大陸”かいな?」というところから始まって延々と地理語りが始まり(難しいものでもないんですけどね、トルコは分断されていると見るべきなのかどうなのか、というのも悩ましい問題です、だって大陸間が歩いて行ける;)、EU−ヨーロッパ共同体についての展望を述べ、後半はもともとは別の本だった『子どもたちに語る中世』というような構成になっているんですが、ある意味であれだよね、戦乱の歴史があるからこそ、それを深く知るからこそEUに期待してるのかな、というのは本の内容とは少し別のところで染みました、争いを知るからこそってのはなんにしろ尊いよなぁ。